ロンドンに学ぶ誰もが安全に使える公共交通 「少数派」に我慢や自粛を強いる日本との違い
今年4月、せっかくロンドンにいるのだから、地元のプロサッカーチームとして世界的に有名なアーセナルの試合でも観戦できたらと試合日程を確認してみると、ちょうどホームでレスターとの対戦が組まれていた。レスターといえば、日本代表・岡崎慎司選手が所属する昨年度の優勝チーム。これを逃す手はないと、早速チケットを購入した。
またテロでも起こったのかと不安になる光景
当日夕方、アーセナルの本拠地である「エミレーツ・スタジアム」行きの地下鉄に乗ろうと、ロンドン北部にあるキングス・クロス駅に向かった。ところが、何か事故でもあったのだろうか、複数ある改札はほとんど封鎖されており、たった1つの改札しか通行が許されていない。付近は、これから観戦に行くのだろうアーセナルのファンや会社や学校から帰宅する人々であふれていた。
またテロでも起こったのだろうかと不安になった私は、駅員をつかまえて「何が起こったのか?」と尋ねてみた。ところが、返ってきた答えは、「混んでいるから」。状況がまったく飲み込めない私は、周囲の乗客にも話を聞き、ようやく事情を理解した。ラッシュ時は電車内が混み合って危険な状態になってしまうため、このように改札の時点で足止めをし、乗車制限を行っているのだという。
なるほど、さすがプレミアリーグきっての人気チーム。巨大ターミナル駅の乗車ルールまで変えてしまうなんて大したものだと驚いていたら、こうした乗車ルールは何もスポーツイベントが開催されるなどの特別な場合だけでなく、日頃の通勤・通学時にも適用されているのだという。ロンドンでは、ピーク時に限ってより高い運賃を設定することで混雑を減らそうとする取り組みなども行われているが、乗車制限もまた一つの有効な手段だと考えられているようだ。
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