──川崎市はモデルケースになりますか。
企画の中核を担う企業グループは川崎市でもともと社会評価の高い企業だ。ナイトタイムエコノミーの振興はとかくマイナス評価が先に立ってしまいがち。信用の部分を担保していくことが重要であり、振興を手掛ける主体に一定程度の評価がないと、広がらないし、政策の支援も得られない。有力企業が発起をした意味は大きい。
──ハロウィーンでは東京・渋谷も話題です。
渋谷は区長がナイトタイムエコノミーに造詣のある人だ。もともと渋谷は文化発信で1990年代半ば、あるいは2000年代半ばに渋谷系ブームがあった地域。近年は、原宿でポップカルチャーブームが出るまで低迷し、IT城下町やオフィスビル建設の流れになっていた。そこに今の区長が方針を180度戻した。もう一度文化発信地を目指そうと。渋谷でのハロウィーン自体も、これから大きくなっていくのではないか。
夜に街歩きができることが何より重要だ
──担い手あるいはリード役が重要なのですか。
海外にはナイトタイムエコノミーの旗振り役として、「夜の市長」(ナイトメイアー)という制度を導入している自治体が結構ある。チッタグループのような役割を負える地縁者がいないなら、地域外から招くのが政策的な定型になっている。振興、発信できる人という観点から、役所にポストを作り、その人を中心に市民や関連産業を巻き込んでいくやり方だ。
──夜間や早朝も操業するとなると、ナイトタイムエコノミーの主役の産業はどういうところになりますか。
日が落ちて以降に消費者によって直接あるいは間接に消費される物品や役務を供給する産業が広く入る。たとえば、遊興の場における飲食サービスをはじめ、さまざまなパフォーマンスを提供するライブハウスやダンスクラブ、スポーツ施設、劇場。また習い事など教育関連事業、さらには深夜交通サービスなども含まれる。ナイトタイムエコノミー振興には夜に街歩きができることが何より重要だ。
──行政的にできることは。
行政の役割はそれほど多くない。日本の場合は「風営法」によっていろんな業種の深夜営業を禁じていたから、昨年の緩和は振興の後押しになる。行政的にできることで、インパクトが大きいのは深夜交通の拡充だ。むしろ唯一にして最大の施策と言ってもいい。
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