野球「独立リーグ」今後も続くには何が必要か

四国などで地元密着を確立したが課題も多い

新潟では2004年の球界再編時に、NPBの新球団創設の動きがあった。Jリーグアルビレックス新潟のオーナー企業は球団設立に動いたが、計画がとん挫してからも新潟をスポーツで活性化させる手段を模索していた。そして、その具現化について、アルビレックス新潟の広告を担当していた村山に委ねたのだ。

BCリーグの運営会社であるジャパン・ベースボール・マーケティング代表取締役の村山哲二氏(筆者撮影)

新潟県の高校球児だった村山は、駒澤大学では準硬式野球部に所属。スポーツによる地域の活性化に関心を持ち続けていたが、ついには電通東日本の部長職をなげうって、独立リーグ設立に動いたのだ。

リーグ立ち上げに当たっては駒澤大学の先輩にあたる石毛宏典も協力、また四国アイランドリーグからもスタッフが派遣されるなど、両リーグは当初から連携。四国アイランドリーグの教訓を生かして、当初から運営会社と球団は別の企業とし、経営は別の人間が当たった。

村山はリーグ運営会社の「ジャパン・ベースボール・マーケティング」の創業社長としてリーグ運営の陣頭指揮を執った。以来10年、加盟球団は10球団に増え、リーグは「ルートインBCリーグ(ベースボール・チャレンジ・リーグ)」と名前を改めている。

苦難の連続だった、独立リーグ運営

両リーグともに設立以降の運営は困難を極めた。

四国4県の球団は、すべて経営に行き詰まり、経営者が交替している。中には高知のように経営者が不在になってしまい、暫定的にリーグ運営会社であるIBLJが経営を引き継いだ球団もある。

4球団のトータルの収支は初年度から10年連続で赤字。これをIBLJ社長鍵山誠の経営する企業グループが補填し続けた。

2014年12月、創立10周年を機に、四国アイランドリーグplusは、球団の完全独立採算へと移行。各球団は厳しい状況ながらも経営を強化して現在に至る。

BCリーグも各球団の経営は厳しく、リーグ運営会社の株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティングも経営危機に瀕した。村山哲二は協力者である兄とともに私財をなげうって経営を支えた。「その私財ももう、跡形もありませんけどね」村山は笑う。

各球団も度々経営危機に瀕した。村山はそのたびに支援をし、経営を引き継ぐ企業や人材を紹介してきた。どちらのリーグも「花も嵐も踏み越えて」ここまでやってきたのは同じだ。

当初の独立リーグは、NPBのミニチュア版のようなビジネスモデルを想定していた。入場料やグッズ収入、放映権料にスポンサー収入も入ってくると見込んでいたが、ふたを開けてみるとその考えは甘すぎた。

入場者は数百人で、NPBとはゼロが2ケタ違う。入場料収入もグッズ収入も雀の涙。当初はローカル局のテレビ中継があった球団もあったが、これも売り物にはならずほとんど消滅する。

リーグ全体をスポンサードする大手スポンサーは辛うじて獲得できたが、これだけで球団を維持することはできない。各球団は、地元に密着し、おらがチームを応援する小口のスポンサーを獲得するようになる。

大手スポンサーは注目度アップを目的としてスポンサー料を支払うが、小口スポンサーは「地元を応援する」気持ちが強い。いわば相撲の「タニマチ」のような感覚で球団を支援した。

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