こうしたスポンサーとのつながりが強化されるとともに、各球団は地域貢献に力を注ぐようになる。子供たちの野球教室、お年寄りの慰問、祭りやイベントへの参加――。四国アイランドリーグplus、BCリーグともに「地域密着」は、最重要の業務になった。
積み上げてきた「選手育成」の実績
両リーグにとって、選手の育成も大きな目的だ。発足以来、四国アイランドリーグplusは50人、BCリーグは29人の選手をドラフト指名でNPBに送り出している。また、外国人選手もNPBに移籍している。
NPBに選手がドラフトで入団すると、独立リーグの球団には契約金の中から一定額が支払われる。外国人選手の場合も移籍金が支払われる。経済規模が小さい独立リーグにとって、それは小さくない収入だ。
ただ、NPBへの選手の輩出については、四国アイランドリーグplusと、BCリーグとでは少し考え方が違う。
四国では「地域貢献」と「選手育成」はリーグと球団の大きな柱だ。毎年リーグの開幕戦では各県の知事が挨拶をするが、必ず「一人でも多くの選手をNPBに」というのが恒例になっている。
しかしBCリーグでは、「選手育成」も目的ではあるが、それよりも「地域貢献」と「試合の充実」を重視する。
これは市場環境の違いが大きいだろう。四国4県の人口は380万人を割り込み、過疎化が急速に進んでいる。興行的な側面では大きな伸びは期待できないために「人材育成」に注力する姿勢が強いと思われる。
BCリーグの球団がある10県の合計人口は、2185万人に上る。市場規模がはるかに大きい上に、政令指定都市のさいたま市や新潟市など経済的にも有力な地域を含んでいる。地域貢献とともに興行的にもまだ開拓の余地があるということだろう。
こうしてみると独立リーグは、頑張ればどの地域にでも根付くように思われるかもしれないが、そうではない。
実際に、2009年に3番目の独立リーグとして、明石市、神戸市、大阪市、和歌山市を拠点として発足した関西独立リーグは、紆余曲折を経て2013年に解散してしまった。
地域住民からの支持が厚い阪神タイガースの地元に独立リーグを作るという試みがそもそも無謀だった。また、都市部では「地域貢献」をしようにも地元住民が少ない。そのために球団もリーグもNPBのビジネスモデルを後追いするような経営を選択。末期には選手は無給になってしまい、野球賭博関与などの不祥事も起こって解散に追い込まれた。
独立リーグは環境と、人材と、当事者の異常なまでの熱意がなければ決して根付くことはないのだ。
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