米学生の死で北朝鮮に報復するのは間違いだ

トランプ政権が取るべき対策はほかにある

トランプ政権のもう1つの選択肢は、制裁の対象を、北朝鮮の労働者を受け入れているすべての個人、組織、金融機関、政府に拡大することだ。2017年2月、国連安全保障理事会の北朝鮮の輸出パネルでは、金体制が「労働者を海外に送り出すことで外貨を得ている」と報告された。韓国の統一省の試算によるとこの行為によって年間約9億ドルが北朝鮮に流れ込んでいる。

9億ドルは国家にとって大きな金額には思えないかもしれないが、これは核開発と弾道ミサイル計画にすべてをつぎ込んでいる北朝鮮にとって貴重な財源となっているのだ。北朝鮮から強制労働者を受け入れた国家はこの計画に寄与しており、米国の金融システム内で取引をするに値しない。

交渉チャネルを断つことは米国の痛手に

残念なことに、これらのどの対策もワームビアを生き返らせることはできない。ワシントンの多くの政策立案者は、金正恩が人類共通の原理を無視するかぎり米国と北朝鮮のいかなる対話も無期限に停止することを含む、より踏み込んだ対応を考えているかもしれない。

しかし、この厳しい試練がワームビアの家族にとって酷いものであるのと同じように、将来価値があるものになるかもしれない北朝鮮との交渉チャンネルを打ち切ることは、米国にとって悲惨な結果を招く可能性がある。トランプ政権が今とるべき最も分別のある行為は、ほかの米国人がオットー・ワームビアのような恐ろしい事態に巻き込まれないようにすることである。

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