「失敗国家」北朝鮮には、対話と交流が必要だ 「粛清の王朝・北朝鮮」著者の羅鍾一氏に聞く
――『粛清の王朝・北朝鮮』の日本語版への序文で、「北朝鮮は極めて特殊な体制とはいえ、継続的な対話と交流を続けるべき」と書かれました。核やミサイル開発で国際的な制裁を強めよという声が高まる一方で、北朝鮮との対話・交流がなぜ必要と述べられるのでしょうか。
羅鍾一(以下、羅):はっきり言えば、北朝鮮は「失敗した国家」です。すべての面で失敗した国だと言ってもいい。とはいえ、北朝鮮が崩壊すれば、現状以上の危機が訪れることになります。ましてや、戦争となれば、相当深刻な危機が訪れます。北朝鮮は失敗した国であるがゆえに、今後生じるさらなる失敗が東アジアの周辺国にも多大な問題と危機をもたらすことを、認識したほうがいいでしょう。
北朝鮮の人口は2300万人。韓国の人口の半分程度ですが、それでも大きな国です。これが崩壊するとなると、まず人道的な危機という難問が降りかかります。これだけの規模の国民が路頭に迷うことになる。それをどう管理するか。一筋縄ではいきません。
また、軍事的な危機が訪れることも、すぐわかるでしょう。かつて東ドイツが西ドイツと統一した当時、東ドイツ軍は6万人規模でした。一方、今の北朝鮮には常備軍で120万人、予備軍だけでも700万人を擁する軍事国家です。崩壊した場合、これだけの軍人をどう管理していくか。
しかも、北朝鮮はすでに核兵器、化学兵器、生物兵器も多く保有しています。これらの処理も大問題です。実際に管理できるのか。ましてや、軍人の管理が効かなくなり、現在のシリアのような内戦状態になる可能性も大いにありえます。こうなると、はたして、外国の軍隊が鎮圧・管理できるのか。甚だ疑問です。
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