秋の市場の波乱に備えた「日米密約説」とは? 米国の出口戦略は、チャイナリスクの行方次第

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渋澤 今回、来日した米議会のスタッフは、民主党と共和党、両方のスタッフが一緒だったのだけど、お互いに何をどうするかという話は一切出ていなかったんだよね。今はお互いに立場を譲らない状態なんじゃないかな。まあ、それでも最後の最後には何とかする、ということなのでしょう。

米国経済は、今後一段と復活する

藤野 いろいろな要因を見ても、米国経済がここから大きく悪化する感じはしませんね。あの国のすごいところは、とにかくどんどんアントレプレナーが現われて、そこに資金を提供するリスクテイカーがいるということです。

渋澤 しかもシェールガスで今後はエネルギーコストが大幅に下がる。安いエネルギーコストでイノベーションが進み、人材の流動性も高い。そのうえ法人税も引き下げる。起業家が儲かる土台が着々と築かれている。

中野 経済のダイナミズムを感じますよね。今、米国の経済は大転換点に差し掛かっていると思います。米国の製造業は一時期、本当にダメになりましたが、それさえも復活してきた。今後10年、世界経済の覇権を握るスタートラインに差し掛かっているのではないでしょうか。米国経済はメガトレンドになると思います。

藤野 日本の経営者でそこを見ていたのが、ソフトバンクの孫正義さんですよね。一時期は中国にベッドしていたけれども、米国の大手通信会社であるスプリント・ネクステルを買収して、一気に米国市場に参入した。恐らく10年以上の歴史観を持って、これから攻めるのは米国市場だと判断したのでしょう。その先見の明は本当にすごいと思います。あと信越化学工業。テキサスに新しい化学工場を造りました。明らかに、米国経済にベッドしてきている。

中野 トヨタ自動車や富士重工業も米国マーケットに力を入れていますよね。先見の明がある企業は、もうあまり中国にはこだわっていなくて、米国に目を向けています。

渋澤 今回、来日した議会スタッフは全員、初めての日本だったんだけど、日本のテクノロジーに対するリスペクトが非常に強いんだよね。

たとえば新幹線の技術なんか、その典型。日本からすれば、中国は確かにマーケットの規模が大きくて、ビジネスを展開していくうえでの魅力はあるんだけど、国が完全な民主主義ではない。歴史の問題も整理できていない。ここが非常に難しいところで、どうしても一歩、踏み込めないところがある。

でも、米国は民主主義国家で、歴史の問題も概ね整理できている。そのコンフォート・ゾーンが非常に深いんだな。その意味でも、日本企業にとっては米国マーケットの方が商売はしやすいはず。加えて米国の経済が本当にこれから盛り上がっていくならば、日本にとって米国のマーケットは、とても重要な位置を占めるようになると思うな。

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