「上は現場をわかってない」と嘆くあなたへ

視点を変えれば認識の偏りに気づくはずだ

現場が低い視点でしか物事を見ていない可能性もあります(写真:tkc-taka / PIXTA)
業務の効率性や収益性を高めようと、ビジネスのアイデアや企画を提案しても、上司にバッサリ切って捨てられるのは会社員ならよくあることです。
なぜ、あなたの提案は上司に受け入れられないのでしょうか? その原因を解明するキーワードは「コグニティブ・バイアス(認識の偏り)」にあると、『自分が信じていることを疑う勇気』の著者である長谷川雅彬さんは解説します。


企業でよくあるのが「上司は自分のことをわかっていない」「上層部は現場を何も知らない」と、現場社員と管理職の人間が対立することです。こうした摩擦が起きるのは人間関係などの理由もありますが、現場の社員が低い視点でしかものを見ていないため、現場レベルでのメリットしか考えられていない点も見逃せません。

「コグニティブ・バイアス」とは

エイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンらの研究から、こうした狭い視点から物事を誤って認識してしまう傾向は「コグニティブ・バイアス(認識の偏り)」といわれます。自分の提案が上司に受け入れられない場合、その人はコグニティブ・バイアスがある可能性があるのです。

人間がどれほど強くコグニティブ・バイアスを持っているのかを明らかにしたおもしろい実験があります。

それはアイオワ大学のアントワン・ベチャラ教授によって行われました。被験者には、4つの山札と2000ドルが最初に与えられます。カードをめくると、被験者に有利だったり、不利だったりする指示(「100ドル獲得」「100ドル支払い」など)が書かれていて、被験者は自分の利益が最大になるように、カードを引く山札を選んでいくよう指示されます。

実は、この山札のうち2つは、最初のうちは多く儲かる一方で徐々に支払いが増え、最終的には必ず多大な損失が出るように細工されています。残りの2つの山札は収入と支払いが交錯するものの、最終的には儲かるように仕組まれています。

被験者は、山札の細工については知りません。そのため、数回カードを引いただけでは「どちらがいい山かわからない」と口では答えます。ところが、山札に手を乗せる段階で手が汗ばんで、体は勝手に「どちらが良い山か」反応するようになります。被験者は無意識的に「こっちの山が安全そうだ」というパターンを認識し始めるのです。

次ページ現代社会では間違った認識を招くことも
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • おとなたちには、わからない
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ついに上場廃止、大塚家具の末路
ついに上場廃止、大塚家具の末路
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本初、「工場を持たない」EVメーカー誕生の衝撃
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
日本人に多い「腸を汚すフルーツの食べ方」4大NG
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
2050年の中国<br>世界の覇者か、落日の老大国か

米国と並ぶ超大国を目指す中国。しかし中国の少子高齢化はこれまでの想定を超える速さで進行しています。日本は激変する超大国とどう付き合うべきか。エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、大前研一ら世界の賢人10人が中国の将来を大胆予測。

東洋経済education×ICT