「上は現場をわかってない」と嘆くあなたへ 視点を変えれば認識の偏りに気づくはずだ

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人間はパターン認識(規則性の発見)が得意な生き物で、これは原始的な習性ですから、誰しもが持っています。しかし、この習性が現代社会では間違った認識を招くこともあります。それがコグニティブ・バイアスなのです。

確かに、動物を狩って生活する世界では、物事の因果関係はシンプルでした。だから、人間はわなを仕掛けて動物を捕まえたりできたのです。ところが、高度に発展した現代社会では、さまざまな要因が複雑に絡み合っているため、全体像を正確に理解しにくくなっています。現代社会は何が成功要因で、何が失敗要因かを見極めるのが非常に難しいのです。

にもかかわらず、私たちはついつい、不規則性の中から規則性を探そうと躍起になります。メディアでビジネスの必勝法や成功法をうたうトピックが取り上げられ、人気になるのも、こうした「パターンをつかみたい」という本能的な習性が私たちの中にあるからです。これも、一種のコグニティブ・バイアスです。

コグニティブ・バイアスに陥らないために重要なこと

コグニティブ・バイアスに陥らないために重要なのが、視点を上げることです。「視点を上げる」とは、物理的に高いところから見るのに似ています。地上ではぐちゃぐちゃに走っているように見える車も、上空から見ると時間帯や天候で混雑の仕方や進行方法にパターンがあることがわかります。

先の例で説明すれば、ビジネスの現場で視点を高くするということは、課全体、部全体、会社全体で自分の立ち位置を把握するということです。本当に上層部が現場をわかっていない可能性もありますが、自分も企業として目指す方向性を理解していない可能性があります。特に企業の意思決定は、さまざまな要因が絡みあっています。現場レベルの低い視点にこだわると、経営陣が考えているような大きな力学の存在を見逃してしまうのです。

上層部と現場とで意見がかみ合わないのは、それぞれのベースになっている論理が違うためです。高い視点を持てると、自分のいるフィールドを越えて、チャンスを見つける機会を増やすことができます。

たとえば、上司や経営陣の視点に立って物事を考えることができれば、彼らにとってメリットがあり、かつ現場レベルにもメリットがある提案を考えられるかもしれません。そうすれば、上司に受け入れてもらえる可能性は非常に高くなるでしょう。

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