安倍首相、消費増税を見送るなら今でしょ!

山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット

私の、消費税に関する「予想」

黒田日銀総裁は、先般行われた金融政策決定会合後の記者会見で、消費税率を引き上げても経済が成長することと、財政規律の堅持が金融政策の有効性確保に対して必要なことを強調した。端的にいって、消費税率は引き上げても大丈夫だし、引き上げるべきだ、というメッセージを発した。

これをどう取るかに関しては、複数の解釈が可能だが、財務省出身で同省の実力を知る黒田氏は、現実的に消費税率の引き上げが行われる公算が大きいと考えて、「消費税率が上がっても大丈夫だ」というメッセージを発したのではないだろうか。

一方で、参院選で大勝して政治的な力を増したはずの安倍首相が「政治家らしく」消費税率引き上げ先送りを決めてくれるといいと思いつつも、純粋な予想の問題としては、現実問題として財務省は強いので、消費税率の引き上げが決まるだろうと「予想」する。現実を想定するに、財務省の要職にある官僚さんの気持ちとしては、消費税率の引き上げは、将来出来ればいいというのではなく、自分がその地位にいる「今でしょ!」ということなのだろう(気持ちは分からなくもないが、迷惑だなあ…)。

消費税率の引き上げが決まる場合、財政の側からも、投資減税や法人税率引き下げといったダメージ・コントロールが行われるだろう。また、国民から見て、そもそも増税は遅いか早いかの問題なので、消費税率引き上げの景気へのマイナス効果は案外小さいかも知れない。また、そもそも現時点では、消費税率は予定通り上がるとの見方が多数派であり、市場にもそう織り込まれているだろう。

マーケットに対する大きな見方として、デフレ解消を目指す金融緩和によって株価を含む資産価格は上昇傾向を辿るだろうという見方を変える必要はないと考えるが、消費税率引き上げが行われた場合の景気へのマイナス効果が意外に大きくなるリスクについては考慮に入れておきたい。これを相殺する金融政策・財政政策もある程度は可能なので、現時点で絶望する必要はないが、注意は必要だ。

もちろん、消費税率引き上げを見送るなら、安倍首相は、官僚には出来にくい判断を国民のために行う立派な政治家であるといえる。

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