【勝間和代氏・講演】利益の方程式~利益を生み出す黄金ルール(その5)

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RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー
「勝間式『利益の方程式』利益を生み出す黄金ルール」より
講師:勝間和代
2008年5月28日 六本木アカデミーヒルズ(東京)

その4より続き)

●積もり積もった過剰品質はコスト高と納期の遅れを招く

 次は、顧客原価を下げる基礎知識です。実は、このあたりは日本企業が得意としているところです。顧客単価を上げることについては何もしていないことが結構多いです。加えて顧客獲得コストを下げるということについては、広告代理店とかマーケッターとかPR会社に丸投げしている会社もたくさんあります。それに対して顧客原価については、逆に過剰なぐらいやっている会社が多いなと思っています。ただ、この過剰な管理の中でボコっと抜けているものを5つ挙げていきます。

 1つ目は何かというと、下げ過ぎはよくないという話です。これは各商品においてどんなに工夫をしても品質を保つために必要な最低の原価があります。その原価を下回ってしまうと、要は質が悪くなるのです。質が悪くなってくると、あっという間に顧客が逃げていって、顧客数が減ったり顧客単価が下がったり、あるいは顧客獲得コストが上がっていきます。

 2つ目は、特に顧客原価が上がる理由は過剰品質、過剰設備投資、過剰な人員投資、要するに保険仕事なのです。なぜこれが起こるかというと、これは先ほどから言っている過剰雇用の問題なのです。日本ってクビにならないですよね。クビにならないということは何かというと、クビにできない。クビにできないから、あまり成果報酬で差がつけられません。成果報酬で差がつけられないと、従業員はどのように働くかというと、リターン・マキシマイゼーションと言うのですが、利潤を最大化するのではなくて、リスクを最小化するように動くのです。一人ひとりがリスクを最小化するように動くと、何が起こるか。過剰品質です。ちょっと迷ったときには、全部過剰な方に倒すのです。そうすると積もり積もった過剰品質が、コスト高と納期の遅れを招きます。

 3つ目は、価格以外の軸を原価に持ち込んでアイディアを考えようということです。これは何かというと、例えば「時間」を持ち込むと面白いと思います。よく客単価を店舗当たり、あるいは業種当たりで分析すると思うのですが、例えばそのお客が何分間店内にいて、それに対して実際にどれだけの物を買ったのかということで、分当たりの売上をもっと効率化できないか考えるのです。あるいはカロリーという話を私はずっとしていますが、同じカロリーを食べさせるときに、どういうものの組み合わせにした方が、顧客が安くおいしく感じるかという観点で食材を考えるとか、プライスではない軸を持ち込むと、意外と原価の引き下げのアイディアが出てきます。

 4つ目は、仕入先を工夫すると原価が下がるということ。例えばブックオフを事例で出していますが、なぜブックオフがあんなにはやっているかというと、要は売る側の問題です。この売る側と売られる側の間に乖離があるのですね。まずは情報量の乖離が大きくあります。しかも規模の乖離があります。ブックオフの立地に大事なのは何かというと、どれだけのお客が売ってくれるかということなのです。ブックオフが立地を選ぶときには、高級住宅地や大学のそばなど、古本が出やすい地域から優先して出店します。

 最後は、結局地道なベンチマークが重要だということ。例えば運送費を下げようとしたら、半年分ぐらいはロジスティックスの経路を記録して、どこの経路がお金がかかっているか分析するしかありません。同業他社のベンチマークをして、一体どこが出過ぎているのか、出過ぎていないのかと調査するのが結局は一番早いのです。 データベースを作って地道にコントロールをしていく、この繰り返しになります。中小企業の業種別にどういう原価構成かというのは出ていますし、大企業であれば同業他社の上場企業の財務諸表が手に入りますので、その原価計算報告書などを見ながら分析をしていくと、自社の構造でどこが高めになっているかヒントが得られます。セグメント会計を見たり、販管費の内訳を見たりして、これでベンチマークを行っていくということをお勧めしています。
その6に続く、全7回)
勝間式「利益の方程式」
~ 商売は粉もの屋に学べ! ~

勝間和代 著
■価格:1,575円(税込)
著者考案の「万能利益の方程式」を活用し、あらゆる会社の利益を最大化する方法を解説。4つのルールと40の行動習慣で学ぶ「サラリーマンでもわかる利益の作り方勉強法です。

勝間和代(かつま・かずよ)
経営コンサルタント、証券アナリスト、公認会計士などを経て独立。2005年にウォール・ストリート・ジャーナルの「世界で注目したい50人の女性」に選出されるほか、2006年にはエイボン女性大賞を最年少で受賞。著書印税チャリティ活動「Chabo!」を発起し、教育・自立支援活動も精力的に展開している。著書に『勝間和代のインディペンデントな生き方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)など
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/
(勝間和代公式ブログ)
http://www.jen-npo.org/chabo/(Chabo!公式サイト)
http://www.jen-npo.org/chabo/chablog/(Chabo!ブログ)
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