米国メディアは、ベゾスの買収をどう見たか? ワシントン・ポスト買収から始まる"メディア変革"
ワシントン・ポストへ向けた書簡
ワシントン・ポストは1877年に創刊した米国の首都ワシントンD.C.の地方紙だ。スーザが作曲し有名になった行進曲「ワシントン・ポスト」は、この新聞社のために作られた曲であることも知られている。発行部数で米国のおおよそ5番手につけ、また土地柄から政治系に強く、ウォーターゲート事件の追及で国際的にも高い評価を受ける名門紙だ。リベラルな編集方針であることも知られている。
ベゾスは、ワシントン・ポスト買収の際の公開書簡で、ワシントン・ポスト紙を急速に変革するつもりがないこと、現在のインターネットニュースは紙の新聞の利益を侵食しているがそれらには本質がなく、ワシントン・ポストが新たなニュースに関するイノベーションを起こすことを示した。これまで通りじっくりとニュースを作って欲しいという内容だ。
買収後も、例えば急速なデジタル化やウェブニュース事業の強化などに力を入れるわけではなく、これまで貫いてきた編集方針を大切にしながら、遅かれ早かれ迫られている新聞事業への変化を、独自にじっくりと作り出していく方針を示した。ベゾスによる買収は、そうした方針の裏付けにもなる。
ベゾスは書簡の中で、ジャーナリズムは自由社会の中で重要な役割を果たしていると述べている。しかし一方で、新聞「事業」であるため、いつまでも赤字を垂れ流し続けることはできない。ベゾスがオーナーとなったことで、ワシントン・ポストは、これから質を伴う変化を作り出すための「時間的猶予」を得た。
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