「トランス脂肪酸」を食べると危ない根本理由

できれば摂取はゼロにしたほうがいい

すでに半硬化油の使用が規制されている国や地域では、健康へのプラス効果が統計に表れはじめている。

世界に先駆け、2004年にトランス脂肪酸の食品への添加を禁止したデンマークでは、3年で10万人あたりの死者数が14.2人減ったことがわかった(米予防医学ジャーナル調べ)。

2007年に米国で規制の先陣を切ったニューヨーク州でも、同様の結果が報告されている。FDAとエラスムス大学(オランダ)の調べによると、ニューヨーク州でトランス脂肪酸の食品添加を禁止した郡における心疾患による死者数は、規制をしてない郡よりも年間10万人当たり13人少なく、約390万ドルの医療費節約につながったことがわかった。

できれば摂取量はゼロにしたほうがいい

死亡まで至らなくても、心疾患そのものも減っている。イェール大学医科大学院のエリック・J・ブラント博士の調べでは、トランス脂肪酸の食品への添加が禁止された郡では、規制から3〜4年後に心臓発作の報告件数が7.8%減ったという。

ブラントによると、多くの食品メーカーは半硬化油の代わりにパーム油(飽和脂肪酸が多く含まれる)を使うようになってきた。「トランス脂肪酸の代わりに飽和脂肪酸が使われる場合でも、全体としての恩恵は大きい」とブラントは言う(それでも飽和脂肪酸が多く含まれるパーム油やココナツ油などの過剰摂取は避けたほうがいい)。

ブラントは大学院時代の2011年に、誤解を招くような食品表示のために、消費者は知らないうちにトランス脂肪酸を過剰摂取しかねないとする論文を書いた。

たとえばFDAのルールでは、1度によそう食事量にトランス脂肪酸が0.5グラム以下しか含まれていないなら、食品メーカーはその食品表示にトランス脂肪酸の量をゼロと記載できる。だが、1度によそう量に0.49グラムのトランス脂肪酸が含まれる場合、1度でもおかわりをしたら0.5グラムの基準を超えてしまう。

「(天然ではなく)人為的につくられたトランス脂肪酸には、そもそも安全な摂取量はない」と、ブラントは言う。「半硬化油を少しでも含んでいる食品は、一切避けたほうがいい」。たとえそれが無理でも、少ないほどいい。

カナダでは、食品におけるトランス脂肪酸の含有量を0.1グラムから記載しなければならない。アメリカだって同じことができるはずだ。

では、牛肉や羊肉、ヤギ肉、乳製品に含まれる天然のトランス脂肪酸は安全なのか。「その危険性はまだわかっていない」と、ブラントは語る。ただ、「植物ベースの食生活が最も体にいいという点では、心臓専門医の意見は一致している」。

(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:藤原朝子)

© 2017 New York Times News Service

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