金融危機以降、欧州を中心に独立財政機関を設置する動きが広がっており、IMF(国際通貨基金)は日本が独立財政機関を設置することを推奨するワーキングペーパーを出している。科学技術分野などの不確実性の高い政策を進める場合、独立財政機関のような立場から政策を評価していく必要があるだろう。
すでに存在する欧州各国の独立財政機関は経済学者などを中心に組織されている例が多く、科学技術分野の評価を行う機関を設立するハードルは一段と高いものの、このような機関や制度を整備することが財政健全化と科学技術分野をベースとした(長期の)経済成長を両立するためには求められるだろう。
人口減少でも科学技術力の保持は可能
科学技術の発展によって日本の抱える問題すべてが解決するというわけではない。人口減少の本質は需要不足だが、科学技術で対処可能な領域は供給側が中心である。人口減少が続く間、日本経済はジリ貧が基本シナリオだ。
しかし、科学技術分野における地位の確保は人口減少社会でも可能であるという。
山下特任教授は「国内の研究者の不足を補うために国際協力を進めすぎれば、技術の流出だけが進み、海外勢にいいとこ取りをされるリスクはある」「しかし、技術やおカネのあるところに優秀な研究者が集まることは事実であり、海外の研究者の力を借りることで、技術力を維持・向上することは可能だ」「30年先、50年先といった将来を見据えた研究を行う以上、足元の人口減少だけを見ていてはいけない」と話す。
日本政府が掲げている目標は、名目GDP600兆円への経済規模拡大や2020年度のプライマリーバランス黒字化の財政健全化などである。むろん、各省庁では掘り下げた議論も行われているが、現実を直視した長期の議論を行う余地は十分にあるだろう。
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