「自動運転なんて必要ない」と考えている人へ ベンツで未来研究を行う社会学者に聞く

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

人間と機械はどう対話すべきか

マンカウスキー氏が開発に携わり、2015年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で初披露されたF015は、2025年頃の世の中をイメージしたコンセプトカーだ。

メルセデスはこのクルマを通じて、自動運転が実用化された世界で高級車はどうあるべきか、というテーマのもと未来のメルセデス像を示した。

CESの後、サンフランシスコでこのクルマの試乗会が開かれた。ガレージから無人で走行してきて我々の前で停止し、ドアが自動的に開いた。ここまで、すべてiPhoneによるリモートコントロールだ。

ドアが開くと、まるで「こちらへどうぞ」と招き入れるように、人間が座りやすい角度にシートが自動的に回転した。乗員はドライブ中、周囲を監視する必要はない。フロントシートを180度回転させ、リアシートの人と対面で話したり、チェスをしたりできる。安全性と快適性の両立を求めるメルセデスの思想は自動運転時代でも変わらない。

F015は、車外とも協調する"シェアド・スペース(歩車共存)"というコンセプトも提案する。歩行者がクルマに近づくと、歩行者が道路を横断するためのスペースを確保して停車し、レーザーライトで路面にビジュアルを投影する。クルマの進行方向と、歩行者が道路を渡る方向を示すのだ。人間のドライバーは歩行者に対しアイコンタクトや手振りで意思表示するが、F015はレーザーライトでそれをやるということだ。こうしたデモンストレーションを見て、なるほどこれが未来の表現かと思わずうなった。

次ページ自動化すべきではないこと
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事