「ホンダらしさ」は自動運転でも体現できるか 2025年に一般道での自動運転実現を目指す
高速道路の加速レーンに入り、ハンドルの右側にあるボタンを押した。すると、車は自動運転モードに切り替わりそのまま本線に合流した。
ここは、ホンダの研究開発子会社、本田技術研究所が栃木県に構える巨大な試験場だ。6月5日、ホンダは世界16カ国から200名を超すメディア関係者を集め、開発中の次世代技術を披露。記者は高級セダン「レジェンド」をベースとした自動運転の試作車に乗る機会を得た。
ハンドルやアクセルから手足を離していても前方の車に自動で追従するほか、車線変更や追い越しもドライバーの指示なくできる機能を備えている。追い越し時はシステムがウインカーを出して車線を変更し、加減速も人間の操作のようにスムーズに行われた。
システムが操作をするものの、高速域での運転中はドライバーによる周辺の監視が必要。視線を前方からそらすことはできない。カーナビ付近に取り付けられたカメラがドライバーの視線や顔の向きを確認している。ここまでは運転の主体があくまでドライバーという、いわゆる「レベル2」の自動運転だ。
自動運転中ならテレビ電話も可能に
高速道路が渋滞しており、低速で走る前方の車に追従するときに限っては、ドライバーが視線を前方から離していてもよい。ハンドルから手を離していても低速で走る前方の車に追従する。これが「レベル3」の自動運転で、システムがすべての運転タスクを行うが、ドライバーは介入を要求されれば応答しなければならない。
「はい、もう前方から視線を外していいですよ」
助手席に同乗した開発者に言われるままに、恐る恐る視線も前から外す。しばらくそのまま走っていると、突然電話が鳴った。カーナビの画面上でテレビ電話が始まった。渋滞のような低速走行が終わると、電話が切れ、視線を前方に戻すようシステムが促す。
今回、ホンダは自動運転の開発目標について大きく踏み込んだ。2025年ごろをメドに、消費者向けの市販車で「レベル4」の自動運転技術(ほとんどの条件下でシステムが車を操作する完全自動運転)の確立を目指していることを、初めて公表した。
「自動運転の分野ではホンダはなんとなく遅れてますね、と言われてしまっている。ここで一度、しっかりと目標を発信しておきたい」。公表の背景には、ホンダの八郷隆弘社長のそうした思いがあった。
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