司法妨害を認めたとも取れる発言であり、大統領の本音が現れた珍しい瞬間だ。司法妨害は、ニクソン大統領の辞任につながった嫌疑の1つだ。ニクソン氏は弾劾を受けるよりも、自ら辞任することを選んだ。
先日、別の驚くべき事実が明らかになった。2月中旬にフリン国家安全保障担当大統領補佐官を解任した翌日、トランプ大統領が同氏に対する捜査を中止するようコミーFBI長官に要請していたのだ。大統領は、解任したフリン氏がロシアおよびトルコ政府との癒着の罪を免れるため司法取引を行うことを恐れたように見える。
さらに別の疑惑が、その前の週にも浮上している。トランプ大統領が同盟国(イスラエルと判明)からもたらされた機密情報をロシアに漏らしたとの報道だ。大統領執務室で行われた会合は、ロシアのプーチン大統領の求めで行われたもので、ラブロフ外相、キスリャク駐米大使(同大使との電話がフリン氏の失脚につながった)が出席した。大統領による機密情報の開示は違法ではないかもしれないが、諜報活動で得た重要情報の共有方法として慣例に反する。
カギを握る超党派の連携
ワシントンで今、最もホットな話題は、これらのスキャンダルがトランプ政権の寿命にどう影響するかということだ。問題が明るみに出る前ですら、共和党メンバーの多くが、トランプ大統領を危険な存在と見ていた。同党の主要メンバーは、減税実現を優先事項と考えているため、今のところ大統領辞任を望むような発言を口にしたりはしていない。とはいえ、大統領に対する不快感を一段と明確に示すようにはなってきている。
弾劾の憶測は至る所で飛び交っている。だが、ウォーターゲート事件でニクソン大統領が辞任したときのような超党派の連携がなければ、弾劾は政治的に不可能だ。
憲法修正第25条の規定によって、職務遂行不能となった大統領を退任させることは可能だ。だが奇妙なことに、その発動には副大統領による手続き開始と、閣僚または議会の過半数の同意が必要だ。考えにくいシナリオである。
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