英国が僅差の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めてから、まもなく1年。われわれは繰り返し「ブレグジットはブレグジットだ」(メイ英首相の言葉)と聞かされてきた。EU離脱が実際にどういうことなのか、理解をまるで助けないフレーズである。
だが、英国がEU離脱交渉を正式に告げるEU基本条約第50条を発動したことで、離脱プロセスが今後数年間どのように展開するかが、おぼろげながら見えてきた。英国が離脱交渉の目的のうち、いくつかを明らかにしたからだ。
「ハードブレグジット」の道を選んだ
メイ首相は、EU単一市場へのアクセス維持よりも、「ハードブレグジット」を選んだ。移民制限やEU司法裁判所の管轄からの離脱が主要目的であると明らかにしたのだ。メイ氏の保守党は6月の総選挙で多数派となる公算が大きく、英国がハードブレグジットの道を進むことはほぼ間違いない。
メイ政権は離脱交渉でEUとの新たな通商協定についても議論する考えだ。だが、EU側のバルニエ首席交渉官の権限は離脱交渉に限られている。離脱交渉が決着するまでは、今後の通商協定について話し合うことはできないのだ。
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