伝統野菜「黒皮かぼちゃ」は他と何が違うのか このかぼちゃは普通のかぼちゃではない

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どんな味付けや調理法にも合うということで、様々な料理に活用できるのが「黒皮かぼちゃ」の魅力。また、ごつごつと盛り上がった表皮にくっきりと縦線が刻まれていて、小ぶりでコロンとした形も愛らしい。見た目にも味わいにも、どこか“和”の奥ゆかしさを感じさせる上品なかぼちゃなのだ。

白い粉ふきが“完熟”の証拠

生目で20年間「黒皮かぼちゃ」を生産している富永信行さんは、冬でも日照時間の長い宮崎県の気候を活かし、冬から春にかけて「黒皮かぼちゃ」をハウス栽培している。気温30℃にもなるハウスの中に整列した約1800本もあるというツルを見渡すと、黒くてまん丸な「黒皮かぼちゃ」が枝もたわわに実っていた。

葉は日の光をたっぷり浴びようと、天に向かって大きく広がっている。富永さんの一日は、毎朝一番に開く元気な状態の雌花に、雄花の花粉を付けて交配させて回ることから始まる。一つひとつ手作業なので、なかなか骨の折れる作業だ。富永さんが20年かけて作り上げた土は粘土質で、「固相」・「液相」・「気相」のベストなバランスを保っている。粘り気のある土のほうが、かぼちゃがよく根を張るのだという。

かぼちゃは“地這い栽培”という地面にツルを這わせる栽培方法が一般的だが、ハウスで育てる「黒皮かぼちゃ」は支柱を立ててツルを縦に伸ばしていく“立体栽培”が主流。こうすることでより効率的に、より美しい見た目のかぼちゃに育てることができる。

「10月に苗を定植してじっくり育て、ちょうど12月の冬至の頃にできる一番果から始まって、6月ごろの六番果まで収穫します。だから一つの苗から1シーズンに穫れるかぼちゃは6個くらい。宮崎は日照時間が長いので、葉がたくさん光合成をして栄養をたっぷり含んだ『黒皮かぼちゃ』をつくることができるんです」と富永さん。

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