佐藤優「月間300冊の読書は、これで可能だ」 「2種類の速読」に池上彰も驚く、その秘訣は?

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佐藤:もうひとつの「普通の速読」は、1冊を30分程度で読むやり方です。

速読に必要な「基礎知識」は、熟読で身に付ける

【佐藤優の読み方5】「普通の速読」は重要部分を拾い読み

佐藤「普通の速読」では、まず「はじめに」と目次、そして「おわりに」を注意深く読みます。それによって、その本のどこが重要なのか、どこをきちんと読むべきかのあたりをつけます。

池上:「はじめに」と「おわりに」は重要ですよね。私も速読用の本でも、そこだけは必ず目を通すようにしています。

佐藤:そして、重要だとあたりをつけた箇所については、文字をできるだけ速く目で追い、1ページ15秒で読むことを目標にします。それ以外のページは、超速読のやり方と同じです。

池上:そのやり方なら、30分程度で1冊に目を通すことができて、内容のポイントもつかむことができるわけですね。

佐藤:はい。「普通の速読」の場合は、気になる箇所には印をつけたり、重要な本についてはノートに読書リポートを作成したりするので、少なくともその程度の時間はかかりますね。

池上:そうやって佐藤さんは、月間300冊もの本に目を通しているわけなんですね。

【佐藤優の読み方6】「速読」するために、「熟読」で基礎知識を身に付ける

佐藤:「速読をしたいけれど、うまくできない」という相談をよく受けますが、「速読」でその本の内容をきちんと理解するためには、その分野についての一定の基礎知識があることが大前提なんですね。

池上:基礎知識のない分野の本は、飛ばし読みでは理解できませんからね。

佐藤「基礎知識のない知らない分野の本は速読できない」というのが、速読法の大原則です。ロシア語がわからない人が、いくらロシア語の本を一生懸命読んでも、それは目の運動にしかなりませんから。

池上「速読」したいと思ったら、まずは基本書をしっかり熟読して、基礎知識を身に付ける必要があるということですね。

佐藤:そう思います。読まなければいけない本はたくさんあるのに、なかなか時間がとれないという人は多いでしょう。私も外交官時代に、大量の本を読む必要性に迫られて、試行錯誤をしながらいまお話ししたような読書法を編み出しました。みなさんもぜひ、私たちの「読み方」も参考にしながら「自分なりの読書法」を磨き、現代を読み解くための「知識と教養」を身に付けてほしいですね。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶應義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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