客の立場から見れば、担当者が地位の高い人のほうが、権限を持って物事をスムーズに運んでくれるだろうと思い、安心できる。そうした心理をついて、社内的には役なしだが、対外向けに役職名を与えることは多い。
前述した「担当課長」はその典型的な例だし、小売店でいえば、「小売担当リーダー」「婦人服担当マネジャー」などがそれに当たる。また、広告部などは部長が複数人いるケースもある。
「補佐や代理などがつくよりは、シンプルに『部長』といってしまったほうが、お客様に与える印象は良いですからね。ちなみに、部長が何人もいる場合は、たいがい『統括』がついている人が、"本当”の部長です」(楠木氏)。
マネジャー職も同じで、統括マネジャーやチーフマネジャー、グループマネジャーなどがいるとしたら、統括マネジャーがいちばん上位の役職であることが多いようだ。
それ以外に権限を与えず役職だけ与える理由には、「管理職待遇にすることで、組合員から外し、残業支給の対象外にしてしまう」ということもある。昇給や管理職手当を出しても、残業代は発生しなくなるので、トータルで会社にとって好都合となる。たかが役職かもしれないが、その裏には、多くの”大人の事情“が隠されているのである。
取引先の役職の序列は、把握しておくのが無難
こうして複雑な様相を呈する役職だが、取引先など他社の役職の序列は、しっかりと確認する必要がある。たとえば、会合などで席次を決める必要がある場合などだ。会社の先輩や、その企業と接点のある社員に聞けば、ある程度の序列を確認することができる。
ただ、どうしてもわからない場合は、信頼関係を構築している相手先の担当者に連絡し、「席次を決めるので役職の順番を教えてください」と、目的を伝えて聞き出すことが最善だろう。
役職の裏側を知らなくても、大きな損をすることはないだろう。しかし部下のいない部長に、「部長ですか! スゴいですね。部内のメンバーをまとめるのは大変じゃないですか」などと持ち上げすぎると、「バカにしているのか」と、怒らせてしまうこともある。
社内外で名刺交換をしたら、その人の名前だけでなく、役職もしっかりチェックしておいたほうがいいだろう。
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