好奇心で得た「薄く広い知識」は、後で役立つ マネックス松本大氏のユニークな「目的意識」
松本:目的意識を持ちすぎないほうが良いとは思わないです。そこは、人それぞれだと思いますよ。僕の場合は、目標を立てる際に「仙台まで行こう」ではなくて「どれだけ北に行けるのか」「行けるだけ北に行こう」という立て方をします。
「座標」ではなく「ベクトル」の目標に進む
つまり、座標で目標を持つのではなく、ベクトルで目標を持っています。自分自身に対しても、自分の会社に対しても、こういう人になりたいだとか、あそこまで行きたい、という目標はありません。ただ、僕の目標の持ち方はちょっと変わっていると思うので、1つの座標を目標にすることはもちろん否定しません。ただ、僕自身はそういう考えだというだけです。
鬼頭:一所懸命やったということが自身の満足感につながるということでしょうか。私の場合、モチベーションを保つために重要なのは「何が自分の承認欲求を満たすのか」を最初に明確にすることだと考えています。松本さんの場合はそれが「一所懸命やる」ということなのでしょうか。
松本:昔からダラダラするのは苦手で、つねに時間当たりの自分の"効用"とか活用方法を意識していますね。それには、亡くなった兄の分も生きないと、2人分やらないとという意識が根っこにあります。今までの人生も、2人分は無理でも、1.2人分でも1.3人分でもやろうとそれの繰り返しだったように思います。今でもそうです。
そんなに崇高なビジョンがあるわけではなく、それよりも日々働ききるかのほうが自分の中の大切な評価基準です。だから、「怠けていても効率良くできました」っていうことには、まったく価値を認めていないですね。結果がでなくても頑張って努力したとかいろいろ手を尽くしたときのほうが自分を評価できます。「それだったらいいじゃん」と思います。
鬼頭:資格試験では途中で挫折してしまう方も多いですが、「昨日よりも今日。今日よりも明日」と考えれば、モチベーションにもつながりそうです。無理に座標を高く持つよりも、昨日の自分と比べてみるというのは、勉強においても有効だと思います。
松本:昔、フィリピンのグロリア・アロヨ大統領の話を間近で聞いたことがあるんですが、その頃のフィリピンは極貧とも言える状況でした。そんな中、アロヨ大統領は政府や部下に向かって、「ベストを目指さないでベターを目指そう」って言うんです。
「今の状態でベストを目指すのはとても無理で続けられない。私たちはベターを目指す。今日は昨日よりベターと言うのを続ける」と。僕はその言葉にすごく響くものを感じました。
仕事も同じことが言えて、仕事はもちろん結果だけれども、そんなに要領がよくない人でも"回転数"を上げて頑張ってる人のほうが心情的には評価できたりします。経営者の仕事は、いろいろな人がいる中でそれぞれの人の120%を引き出せるチームを作ることだと感じています。
「2割の努力で8割の成果」を上げてきた鬼頭政人・資格スクエア代表が勉強法を説き明かしていくこの連載。著者への勉強相談はこちらのフォームから!
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