好奇心で得た「薄く広い知識」は、後で役立つ マネックス松本大氏のユニークな「目的意識」

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松本実は、もともと医師志望だったんですよ。兄を病気で亡くして、その時にお医者さんや看護師さんの懸命な姿にすごく感銘を受けました。でも、高3になる前の春休みに、テレビで医師と看護師を取り上げたドラマを見て「自分にはこんなヒューマニティはない」「俺みたいな人間は医者になってはいかん」と思ったんです。すぐさま教師に電話して文系志望に変える「文転」の希望を伝えました。結局、教師には「春休み中だから新学期にまた」といわれて、新学期になって言ったら「もう間に合わない」と言われて、ずっと理系のクラスにいることになりましたが(笑)。

医師とは別に、物理学者になりたいとも思っていました。しかし、高2の時に読んだ『物理精義』という参考書の中で、ニールス・ボーアというデンマーク人の理論物理学者を知って驚きました。彼は若くして「ボーアの原子模型」という偉大な研究業績を挙げています。そして、先生も「科学者の世界では、10年間でその分野の世界一にならないとただの人だ」と言うので、「自分には無理だ」と思って、あっさり諦めたんです。

自分で工夫し、実践してきた勉強法を基に、資格試験ビジネスを立ち上げた鬼頭氏(撮影:梅谷秀司)

鬼頭開成高校では、医学部に進学する生徒が多いのですが、私も最初は医師志望でした。しかし、それは親が望んでいたからであって、自分の希望ではありませんでした。

高校3年の時に「本当は何がしたいんだろう?」と考えたときに、英語と海外が好きだったので「外交官になりたい」という夢を初めて持ち、法学部へ進みました。

でも、大学でボート(東大漕艇部)に没頭しすぎて、気づいたら大学4年になっていました。そこで、せっかく法学部に入ったんだから法律の勉強をしようと思って始めてみたら、自分に法律が合っていると感じ、それから司法試験の勉強に没頭しました。

英語が「苦手」だからこそ選んだ外資系証券

松本僕の場合はその逆ですね。自分に合っているから、と外資系証券会社に入ったワケではないんです。英語が苦手で、それをどうにかしようという思いで、外資系に入社したんですよ。大学の時の旅行先で、大したことを伝えようとしたわけでもないのに、まったく自分の英語が通じなかった。言葉が通じなくて相手にされないという経験が、すごくショックでしたね。そこで「アメリカの会社に入れば必ずできるようになるでしょ」という発想だったんです。

結局、外資系に入っても英語は苦手なままでした。金融業界って結局、数字がメインなので難しい英語は使わないんですよ。一定の用語しか使わないから、僕の英語力でもさすがに大丈夫でした。でも、仕事で英語を使っていても、ビール片手に普通の会話をしようと思ったらまったくできないという経験もしました。仕事のボキャブラリーはあるのに、普通のボキャブラリーはまったくない。その時は、外国人の先輩に「お前、そんなに英語できなかったのか!」と驚かれました。

鬼頭私の周りを見てみると、英語を身につける成功パターンは留学が多い気がします。英語が苦手だから、というきっかけで外資系に就職するという発想はなかなかしないと思います。

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