好奇心で得た「薄く広い知識」は、後で役立つ マネックス松本大氏のユニークな「目的意識」
鬼頭:要領の良さは、勉強において最も重要だというのが、僕の考えです。学生でも社会人でも、たとえばテキストを1から10まですべて覚えようとするタイプの人は要領が悪いのではないかと。丁寧に完成させようとするあまりに、スピードが遅くなり、締め切りに間に合わないといった傾向があります。何事も全体像をざっくり見て、短期間でそれを繰り返す。それがスキルアップには重要だと考えていますが、松本さんはどのように、要領の良い勉強をしてきたのでしょうか。
自力にこだわらず、優秀な同級生の「解法」を学んだ
松本:学生の時は物理と数学が得意でした。でも、普段は何も勉強していないので、試験直前になると優秀な同級生のノートを貸してもらっていましたね。なんせ勉強法が一夜漬けなので、そのノートに書いている解答だけをひたすら読んでいました。
優秀な人って、教科書にはない、とても"おしゃれ"な解き方をしているんですよ。図形の問題でも、普通は力任せでたくさん計算しそうなところを、たったの数行で解いていたり。自分で考えるよりも、優秀な人の解法を見たほうがずっと早いと考えていました。
数学と物理だけはそうしていました。ほかの教科はがんばって暗記で乗り越えられても、数学と物理は優秀な人の解き方を見るかどうかで労力が雲泥の差だったので。自力ではなく他力に頼る、悪いやつでしたね。
鬼頭:私も〔開成高校→東京大学→弁護士→起業〕という、大学までは松本さんと同じ経歴を歩んできました。小学校時代に塾に通ったときにすごく頭の良い同級生たちに出会い、鼻をへし折られたのが、今に至るきっかけでした。
それから勉強法の研究を始めて、その実践という形で、東大や司法試験といったいわゆる難関といわれる試験を突破。その勉強法をもとに資格試験ビジネスを立ち上げました。松本さんには、今まで歩いてきた道につながるきっかけというのはあったのでしょうか。
松本:僕の場合は、兄を亡くしたことがきっかけでした。僕が小学校5年のときで、中学受験のちょうど1年前くらいです。2カ月くらいは悲しくて泣いてばかりで、何もできなくて……。でも、兄が開成中学を受験して落ちたという過去があったので「じゃあ自分が開成に行こう」と思ったんです。平日は毎日、数時間勉強して。思えばその当時が人生の中でいちばんまじめな時期でしたね。
鬼頭:そういうきっかけがあったのですか。中学受験のころ、私も父がリストラにあってしまい、「絶対サラリーマンにはならないぞ」と決めた時期でもありました。松本さんはその後はどのように金融業界を志したのですか。
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