時差がコミュニケーションを減らす
なお、アメリカやヨーロッパに留学すると、日本にいるあなたに対しその時差は8時間から12時間に及ぶこともある。この昼夜逆転というのはコミュニケーションをするのになかなか大きな阻害となり、アジア圏の2~3時間の時差なら電話なりメールなりすぐに意思疎通が図れるのだが、いかんせんあなたが連絡しても返事は早くて8時間後、気軽に電話したくても相手は寝ているので何かと疎遠になっていく。
これは私自身も経験したからわかるのだが、香港やシンガポールにいるときに日本にいる人と連絡をするのは、思い立ったときにすぐ電話できるからいいのだが、フランスやアメリカに滞在していると、電話したいなと思ったときに相手は寝ているので、何かとコミュニケーションの頻度が下がっていくのである。
中には1日中スカイプで部屋を生中継して“一緒に住んでいる感”を演出していた驚きのカップルもいたが、1年、2年と続く昼夜逆転の時差は、確実に2人の間に距離をつくっていくだろう。
夫のあなたが、若妻の選択肢を狭める阻害要因に
一流校に留学すると、世界中にあなたの奥さんのキャリアの選択肢が広がり、子供の頃からのあこがれだったロンドンやニューヨークのマッキンゼー勤務の希望が見えてくる。
望めば採用を拡大しているサンパウロのBCGでも働けるし、インドネシアの富豪の友人にジャカルタで一緒に働かないかとも誘われている。そして給料が2000万になるのだから日本の税金と社会保障で全部持っていかれるのが口惜しく、全部払っても16%のシンガポールや香港、ヨーロッパならルクセンブルグかスイスでおカネを貯めたい。
世界中から集まったクラスメートが世界のあちこちに自由に散らばっていく中、日本人だけが卒業後も圧倒的に日本に帰る確率が高い(これ本当)のにも、何か違和感を覚える。
しかし気づくと2年の春のリクルーティングシーズンに希望勤務先でJapanと記入している自分、そして2年という約束の時間が終われば少し老けた感のある旦那との日常が表参道のマンションで待っているのが気が重い。そう思うとせっかく広がった世界が、再度、近所の日常に押し込められそうだ。
結果的にエキサイティングな留学生活の対角線上に、少しお腹の出た、夕飯を作ってくれるのを待ちぼうけして「実家の母さんにもたまには連絡してくれよ」などと言っている面倒くさい旦那として、あなたが位置づけられるのだ。
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