ファッション業界が挑む「年齢差別」との戦い 「歳を重ねる」という言葉は復権できるか?

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ブラッディ氏はアメリカンアパレルの撮影中、2008年に35歳のアリ・セス・コーエン氏がはじめたブログ「アドバンスト・スタイル」を偶然目にしたことで、円熟した女性をキャストすることを思いついたと、オシャウネシー氏に語った。

当時、コーエン氏はニューヨークに引越し、いまは亡き祖母と貴重な時間を過ごしていた。祖母は彼が知る多くの年配の人たちと対照的に歳を取ることについて特にポジティブだったとコーエン氏はいう。ストリートスタイルのブログが注目されはじめた時期、祖母や街中で遭遇したスタイリッシュな年配の女性に触発された同氏は、彼女たちの写真を撮り、オンラインで共有した。

「僕はライフスタイルやファッションメディアを代表するような女性たちは探していなかった。僕が出会った女性たちは、なによりも自分にインスピレーションを与えてくれた」とコーエン氏は語った。「ファッション業界は年齢差別主義だ。なぜなら世界がそうだからだ。そして、ファッション業界は多くの世界観を反映する。僕はそれとは異なる何かを提示し、歳を重ねることを別の方法で表現する機会を得ることができた」

ニューヨーク・タイムズのファッション評論家ヴァネッサ・フリードマン氏がエイジング活用の推進に関して同氏の功績を認めていることもあって、以来コーエン氏はファッション業界でエイジングを進んで活用するという動きの牽引役となっている。コーエン氏はこのテーマについて2冊の本を執筆し、『アドバンスト・スタイル』と同じタイトルがつけられたドキュメンタリー作品の制作を助けると同時に、デザイナー、カレン・ウォーカー氏とともに、62歳から93歳のモデルを限定採用したキャンペーンに取り組んだ。コーエン氏によると、キャンペーンが終わったとき、ウォーカー氏から直接電話があり、突然年配の女性たちが大挙して同氏の店に押しかけるようになったとのことだ。

歳を取ることへの否定的な感情が蔓延している

「我々は『年を取る』という言葉を復権させるために取り組んでいる。人々はその言葉を恥じているし、自分たちに使われたくないと思っている。年を取ることへの恐怖という巨大な文化があり、世界中でエイジングに対抗している。それがこの戦いを困難にしている」と、ウォーカー氏はいう。

アリ・セス・コーエン氏と彼のブログ『アドバンスト・スタイル』をテーマにした写真
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