ファッション業界が挑む「年齢差別」との戦い 「歳を重ねる」という言葉は復権できるか?
第2次世界大戦後の1946年から1964年のあいだに生まれた、ベビーブーマーと呼ばれる世代を調べたニールセンの調査によると、米人口の推定50%が今年50歳以上になると予想されている。さらに、このグループは、2017年末までに米国の可処分所得の70%を支配すると見られている。
この現状は、アメリカで長年にわたり若者の代名詞であり、容姿や深く根付いた美の基準に基づいてその大部分が構築されているファッション業界に変化を促している。特に女性の場合それが顕著だ。ハリウッドを一目見ても、2014年から2016年の25の最優秀作品賞候補を調べた南カリフォルニア大学の調査では、60歳以上の俳優の78%が男性であったのに対して、女性はわずか12%だった。
今は高級ブランドの力が試される分岐点にある
50歳以上の女性がより大きな消費パワーをもつ時代、15歳の若いモデルを何十年もランウェイの中心に据えて途方もない値札をつけた商品を販売する高級ブランドにとっては、力が試される分岐点にもなっている。
『ディス・チェア・ロックス:年齢差別に対抗するマニュフェスト』の著者アシュトン・アップルホワイト氏は、「ファッションで興味深いことは、それが美に極端な焦点を当てており、パラドックスを生んでいることだ。もちろん、私たちは若さに心酔し、若さと美を同一視するが、歳を重ねることと美しさの共存は可能だ。高齢のモデルを採用することは、それを検証することになる」という。
ファッションスポットの調査によると、今年2月、ニューヨーク、パリ、ロンドン、ミラノで開催された世界ファッションウィーク期間中に、年齢50歳を超えるモデル21名がランウェイを歩いており、昨秋のモデル13名から増加している。ニューヨークでは、オシャウネシー氏がラルフローレン、マイケルコース、トムフォード、J.クルー、レイチェルコーミー、トムといったブランドのショーに参加しており、年齢の壁をなくす動きを牽引した。