11年ぶり体制一新 野村・国内営業の挑戦

また、今後は大手生保などの大型上場で個人株主数の増加が見込まれる。それに付随した需要を取り込む前提で、野村は2010年には預かり資産を現状4割増の100兆円、取引口座数も同2割増の500万口座まで引き上げる目標を掲げる。野村首脳は「それすら通過点にすぎない」とさらなる拡大を見込む。

過去にも似た営業改革 コンサル型営業の理想

実は他方で、野村の国内営業改革は、競合に後れぎみな面があった。大和証券と日興コーディアル証券は、店頭応対の場合でも、顧客によっては専任担当者を付けずに対応する体制に04年から切り替えている。

競合が、野村に先駆けて顧客ごとの対応を細分化したのは、「単純な株取引の取り次ぎは付加価値にならなくなってきた」(大和証券の村田勝安営業企画部上席次長)ためだ。加えて「コンサルティングを希望するお客様に対応する時間を増やしたい」(日興コーディアル証券の岩木川雅司専務)との事情もある。

対面型営業の証券会社がリテールで直面する課題は、コンサルティング型営業で収益を拡大できるかだ。顧客との対話で保有資産の構成や運用目的などを把握して、それに適した資産設計や運用方針を提案したうえで、関連する金融商品やサービスの販売に結び付ける--。

野村もその営業スタイルを目指している。同社は組織改革に先立ち、顧客の資産運用シミュレーションを、グラフなどでコンピュータ上に視覚的に示す提案ツールを各支店の店頭に配備した。この本格活用は、ポイントの一つになりそうだ。

野村は国内営業の質的転換に過去ずっと挑戦してきた。

前回、同社が国内営業を改革したのは97年。当時の氏家純一社長(現野村ホールディングス会長)は「国内リテール部門の業態を『証券の売買』から『資産の管理』に切り替えるという戦略転換」を宣言した。これを受け、各支店には「営業課」に代わる「資産管理課」が設けられ、販売手数料を稼ぐより、顧客の資産純増を評価するようにした。

ただ、株式市場の長期低迷で収益は上がらず頓挫。「今もそんなに中身は変わっていない」と多田専務は反省する。「コンサル型営業は、結局、野村も含めてどの証券会社も体現できていない」と複数の業界関係者は口をそろえる。

そうした中、顧客ニーズを的確にとらえ、収益に結び付ける営業スタイルを確立できるのか。野村の古くて新しい難問への挑戦が今また始まったところだ。

(武政秀明 撮影:玉川陽平 =週刊東洋経済)

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