「日本の商習慣を変えたい。たとえば、リアルの店頭で気になる商品があったら、写真に撮るなどしてtabに入れておく。その場で購入をしなくても、後でやっぱり欲しいなと思えばtabから買える。tabに入れた情報は拡散されるので、他の人の来店にもつながる。『リアル店舗のEC化』を推進したい」と谷口氏の夢は広がる。
リアル店舗を持つ流通企業にとって悩ましいのが「ショールーミング」。消費者が店舗で実際の商品を手に取って確認した後、同じ商品をアマゾンなどのネット通販で購入する消費行動のことだ。今後、ますますショールーミングは拡大していく。この流れを無視することはできない。
「リアル店舗のEC化」が実現すると、tabを活用している流通企業は、自社内ショールーミングをしやすい環境をユーザーに与えることになる。言わば、“攻めのショールーミング”。結果、外部のネット通販への顧客の流出を防ぐことにもつながる。
伊勢丹の菅沼氏は次のように話す。
「店舗で実物を確認した後、ほかのネット通販で買われてしまう。それならば、伊勢丹の通販サイトで買ってほしい。ウェブ事業部も、ネット通販の売り上げを上げることを大きなミッションとして掲げている。入口が自社の通販サイトではなくtabであっても、最終的に伊勢丹の売り上げになればいい。できればtabと連携していきたい」
京樂氏は同時に「リアル店舗のEC化」で広がるO2Oの可能性を大きくとらえている。
「スマートフォンで実現するO2Oの可能性として、決済のデバイスになるという点が非常に大きい。今後は、お客様が、どこで店舗や商品の情報を知るか、どこで商品を受け取るか、どこで決済を行うか。すべてが『ネットとリアルが複合したコミュニケーション、顧客体験』になっていくだろう。先駆けの取り組みとして、自社のウェブサイトや通販サイトだけでは、不十分。tabのような先進的なメディアと一緒に取り組んでいく」
雑誌好きのユーザーを中心にtabは作られる
現在、頓智ドット社は、20人の体制。ネット系ベンチャー企業としては、多いほうだ。その内、11人がエンジニアだ。tabを始めて以来、新規採用の決め手は、とにかくtabがすごく好きだということ。
頓智ドットが最も重要視していることは、徹底したユーザー主義。毎月、ユーザーと議論をし、結果をサービスに反映している。地方に出向いて行うときもある。毎回2~3時間の議論で、30~50個、多いときは100個ほどの要望が挙がる。その中から優先順位を決めて実装していく。先に紹介した“買い物かご”と決済機能も、ユーザーからの要望で導入が決まった。
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