アメリカが画策する「日本叩き」の巨大衝撃

ロス商務長官は日本に対して「100%」厳しい

ショックは個別業界にとどまらない。特許侵害の調査や反ダンピング関税の決定とタイミングを合わせたかのように、5月4日、商務省の貿易統計が発表された。それによると、3月の対日貿易赤字は前月比なんと55%増の72億ドル(約8100億円)となった。

ウィルバー・ロス商務長官は、この貿易統計を受けて声明を発表、「米国はこの対日貿易赤字にはもはや耐えられない」と表明した。日本を名指しで批判するなど、きわめて厳しい姿勢をみせている。

ロス長官はニューヨークの日米交流団体ジャパンソサエティ会長を務めた知日派として知られる。日本のことを熟知している日本通であり、それだけに、かえって「日本に対しては100%厳しい」と受け止めておくべきだろう。

今回の同長官の声明では、米国にとって最大の貿易赤字相手国の中国についての評価が興味深い。米国の3月の対中貿易赤字は前月比1%の減少だった。同長官はこれを「改善した」と評価したのである。日本とは対照的に対中批判を控えているフシがある。これはいったいどういうワケか。

なぜ中国批判を抑えているのか

察するに、ドナルド・トランプ大統領が中国に対して、北朝鮮問題をめぐる中国の協力と引き換えに、中国を為替操作国としての認定を見送ったように、当面、対中貿易不均衡については圧力を加えるのを控えるように配慮したものとみられる。

トランプ大統領は、就任早々、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退を宣言した。これは、アメリカがこれまでの多国間貿易から2国間貿易へ転換することを正式に表明したことを意味する。日本は、当面、米国抜きでTPPを進めていき、いずれ米国の参加を待つ構えだが、今後、米国がTPPに復帰するとはまず考えられない。

トランプ氏は、2国間交渉は双方にとって利益があり、また、国際的にも利益があると考えている。中国とは2国間交渉を進めながら、対北朝鮮への圧力を中国に強く求める。北朝鮮の核を抑え込むことは、日本にも、韓国にも、さらにオーストラリアにも利益になると考えているからだ。

オーストラリアが含まれるのはなぜか。実は、北朝鮮はオーストラリアにもミサイルを飛ばすと公言している。そのことについて日本ではあまり報じられていない。

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