iPhone失速?「販売台数減少」はヤバいのか 注目すべきは売上金額と平均販売価格だ
米国ではiPhone7の32GB(ギガバイト)モデルが649ドルで販売されている。保存容量が128GB、256GBと増えるにつれて、100ドル、200ドルと価格が上昇し、また大画面モデルのiPhone7 Plusになると、32GBモデルでも769ドルと、120ドル価格が上がり、保存容量が増えるごとに100ドルずつ価格が上昇する。
549ドルからのiPhone6s、649ドルからのiPhone6s Plus、399ドルからのiPhone SEも販売されており、これらが多く売れれば平均価格を押し下げることになる。それでも、iPhone7 32GBモデルの649ドルより高い、平均販売価格655ドルを達成していることを考えると、多くのユーザーが、より大きな保存容量、もしくはより大きな画面サイズを選んでいることになる。
iPhoneには、平均販売価格が上昇する仕組みが備わっている。たとえばiPhoneを長く使っているユーザーは、iPhoneの中にたくさんの写真やアプリが蓄積されており、長く使うほど、そうしたiPhone内の「持ち物」が増えていく。
これを保持しながら新たなデータを蓄積するには、当然より大きな容量のiPhoneが必要になる。非常に単純な話だが、容量不足に陥ったとき、「次はより大きな容量のiPhoneにしよう」と考えるだろう。
ライバルのAndroidスマートフォンでは、microSDカードによる保存容量の拡張が可能になっている。これを使えば、本体の保存容量が少なくても、より多くのデータを保持し、機種変更のときにそのままカードを差し替えるだけで済む。非常に利にかなった仕様だ。
しかしアップルが同じことをしないのは、デザインやセキュリティといった問題もあるが、iPhoneの価格システムを維持することを優先しているから、という理由にもうなずくことができるだろう。
10周年記念モデルで台数も単価も上げにいく
iPhone7シリーズには、保存容量と画面サイズを活用した、新しい価格上昇の仕組みを取り入れた。それは、特別なカラーを128GB以上の容量にしか用意しないという戦略だ。
新たに追加された光沢のある黒“ジェットブラック”は、iPhone7、iPhone7 Plusともに、128GBと256GBにしか用意されず、32GBモデルの設定はなかった。加工にコストがかかることはもちろんだが、性能がまったく同じスマートフォンの価格を引き上げ、しかも人気を集める手段として、新しい色と仕上げを用意したのではないだろうか。
3月21日に発表したiPhone 7 PRODUCT(RED) Special Editionも、ジェットブラックと同様に128GB、256GBのみの設定となっている。真っ赤なiPhoneは、649ドルでは買えないのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら