「五月病」にかからないためにはどうするか

毎月の給料は「苦役」の「我慢料」ではない

藤野:日本の場合、個人の能力よりも所属で評価、判断を下すケースが非常に多いと思います。本当に大事なのは個人の能力であるはずなのですが、たとえば大手商社、メガバンク、あるいは中央官庁など、世間的に有名な組織に属していることが、人としての評価基準とされがちです。どこか歪んでいますよね。

あと、いろいろなおじさんを見ていると、何となくわかるのですが、会社でしか評価を受けていないという人が多いのですよね。で、会社を出て家に帰ると、妻からは生活無能力者としか見られずに虐げられる。毎日を仕事、仕事で過ごしてしまうから、地域のコミュニティとも疎遠になっている。居場所がない。だから、ますます会社にこもってしまう。会社にずっといる人は、別の形の引き籠りなのかもしれません。

日本人の「会社バカ」は、なかなか治らない?

渋澤:要するに、会社バカになっている人が多いわけですよ。自分の仕事の領域とルーチンを守ろうとする社員、代表取締役社長を退任した後も会長、顧問、相談役という役職に居座る偉い人々……。皆、会社バカでしょう。中野さん、今度、「会社バカ」って本を書いたらどうですか(笑)?

中野:考えてみます(笑)。

渋澤:会社以外の居場所も、見つけなければね。

藤野:でも、本当に所属で評価されるという点は、日本人にしみついていますからね。治すのは大変だと思いますよ。よく定年になってから豪華客船で旅行する人がいるじゃないですか。港を出て数日が経ち、乗客同士が顔見知りになる過程で、かつて勤めていた会社の大小、役職の上下で乗客の間で序列ができていくそうです。そこにはまると、皆さん安心するみたいですね。いや、もう会社を辞めてからも、所属していた会社の序列が気になるのですから、ますます会社バカというにふさわしい。確かに、仕事バカというよりは、会社バカの人が多いのでしょうね。

中野:定年になって受け取ったおカネの大半を、どうしようもない投資信託に突っ込んでしまい、大損してしまったという人の話を聞きますが、あれって、銀行の支店長が、「是非とも後学のために、現役時代の話を聞かせてください」って訪ねてくるそうです。

で、ひととおり現役時代の自慢話を聞いた後、「いや、本当にすばらしい。これからもちょくちょくお邪魔させていただいて、そのお話を伺いたいところです」って言うと、「おたくの普通預金に預けてある退職金、運用をお願いするよ」って簡単に落ちるそうです。これも会社バカの典型パターンのひとつですね。昔、武士が藩のためにすべてを捧げたのと似ていて、現代の企業戦士は会社にほとんどすべてを捧げたわけです。それが、こういう事態を招いている。

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