「信頼され続けるメディア」は何が違うのか エコノミスト誌が174年間堅持していること

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ダニエル・フランクリン(Daniel Franklin)/『エコノミスト』誌編集局長。同誌が発行する『世界はこうなる』の編集長も務めている(撮影:ヒダキトモコ)

山田:東洋経済オンラインではユーザーが記事にコメントを入れられる仕様になっています。実はこのデザインは『エコノミスト』のウェブサイトを見て学んだことです。発信するだけではなく読者と双方向でやり取りを行うコミュニティを目指していったのは、なぜでしょうか。

読者のアイデアを積極的に取り入れる

フランクリン:『エコノミスト』では、人々の前向きなアイデアこそがもっとも大切にされるべきだと考えております。ですから、洗練された読者のアイデアを雑誌の中にいれていくことを重要視してきました。これは雑誌のときからの伝統です。

私がウェブ版の編集長をやっていた時には、オンラインディベートを積極的にやっていました。これは、きちんと決められたオックスフォード形式でのディベートです。そこで読者の皆さまから洞察、知恵、考え方を出してもらいました。

もともと『エコノミスト』の使命は、1843年の創刊以来、全く変わっていません。それは「進んでいる知性と、私たちの進歩を妨げる価値のない、臆病な無知との間に存在する厳しい競争に参加すること」です(The Economist's goal is to "take part in a severe contest between intelligence, which presses forward, and an unworthy, timid ignorance obstructing our progress.”)。これは毎号、雑誌の目次に印刷されています。

つまり、われわれ人類を前に進める知性と、進化を押しとどめる無知とのあいだの戦いにおいて、知性の推進をしていく、ということ。創刊の時から、ずっと優れた知性の活発な議論を標榜しているわけであり、読者の方たちからのコメント欄をウェブサイトに設置することは、きわめて自然なことなのです。

山田:コメント欄では差別的な表現など問題のある書き込みをする人もいるように思います。これにはどのように対応していますか。

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