司法修習生の「給費制」復活で残る困難な課題 法曹志望者激減に歯止めの期待はあるが

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ビギナーズ・ネットのメンバーらが集まった意見交換会(2016年10月)

司法修習生に対して、一律月額13万5000円を給付する「給費制」が事実上復活する。新制度を創設するための改正裁判所法が4月19日、参院本会議で可決、成立した。今年の司法試験合格者から導入される。住居費がかかる場合には、3万5000円を上限に住居手当も加算される。

司法試験合格後、未来の裁判官、検察官、弁護士は、裁判所や司法研修所などで約1年間「司法修習生」として学ぶことになるが、今回の法改正で、この期間に支給されることになる。

財政負担軽減などを理由とし、2011年に給費制は廃止されていた。その後、現在は無利息で月額18~28万円の貸し付けを受けられる貸与制が利用できるようになっていたが、給費制の復活を望む声が強かった。

今回の給費制の復活について、弁護士はどう評価するだろうか。改正内容で評価できる点、できない点などについて、給費制の復活を求めてきた「ビギナーズ・ネット」代表でもある、萱野唯弁護士に話を聞いた。

「何らの生活保障もなく無給状態に置かれていた」

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

「これまでの無給制に比べれば、一定の給付がなされることは前進であり、評価すべきものと考えています。

司法修習生は修習専念義務を負っており、公務員に準じた身分として兼業・兼職も原則として禁止されています。それにもかかわらず、2011年以来、何らの生活保障もなく無給状態に置かれていたことが、国内の他の制度や諸外国の制度との比較でも極めて異例でした。

この間、法曹志望者が激減し、経済的事情で法曹への道をあきらめた方も多くいたことからも、国の対応が早かったとは言えないでしょう」

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