司法修習生の「給費制」復活で残る困難な課題 法曹志望者激減に歯止めの期待はあるが
給費制が廃止されて以後、貸与制が利用できるようになっていた。しかし元々、奨学金を借りて高校や大学、法科大学院に通う学生も多く、司法修習で更なるローンを負うことへの不安から、法曹への道をあきらめる学生もいたそうだ。
なお残される「2つの課題」
今回の給費制の復活によって、懸念は払拭されたのだろうか。
「今後の課題として、2つの問題が残されていると考えています。
1つは給付額の問題です。新たな制度の給付額(月額13万5000円)は、従前の給与額(月額約20万円)や、2011年以降の貸与額(月額18万~28万円)に比べて低いものにとどまっています。
修習生は配属地も最高裁に指定され自由に選択することはできず、引越費用や住居の初期費用等も必要になります。13万5000円という額が、司法修習に専念するために必要な額になっているかについては、司法修習の実態も踏まえて引き続き検討がなされるべきであると考えています。
2つ目の課題は、いわゆる谷間世代(2011年~2016年の間に司法修習をした世代)の問題です。給費制が廃止された後、今回の制度が導入されるまでの6年間の無給制の司法修習生に関しては、何ら救済策が示されていません。
今回の国会審議の中でも与野党問わず多くの国会議員から、世代間の不公平是正措置の必要性について指摘がなされましたが、この点については改正法案に盛り込まれませんでした。
これらの意見を重く受け止め、国や弁護士会は知恵を絞ってほしいと考えています」