電通過労自殺からテレビ界は何を学ぶべきか

テレビ局も迫られる「働き方改革」

放送界の多くの労働者は、長時間労働が健康によくないことを頭のどこかでわかっていても、いいものを作りがたいために長時間労働をしている(撮影:尾形文繁)
「電通事件」は、メディア関連企業の「働き方」を再考するきっかけともなった。番組のため、取材のためと、長時間労働を「是」としてきた放送局の現場は、どう受け止めるべきなのか。

 

電通に勤務していた新入社員の女性が2015年末に自殺したのは、長時間労働が原因だったとして労災が認定され、このことが大きく報道されたのは周知のとおりである。

電通といえば、1991年8月にも新入男性社員が自殺しており、裁判所が会社の安全配慮義務違反を認め、遺族への損害賠償の支払いを命じた事件がある。この事件自体、労働問題に取り組む弁護士であれば知らない者がいないほど有名な事件である。それから再び起きた過労自死事件という点でも、このたびの電通事件が大きく報道された理由といえるだろう。

電通過労自死事件の持つ意味

『GALAC6月号』(5月6日発売)の特集は「放送局も迫られる“働き方改革”」です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

もっとも、電通では数年前にも30歳の男性社員が過労により自殺していたことが明らかになっている。「2度目」と言われ、大きく報じられた今回の事件であったが、実際は「3度目」だった。こうなってくると、まだ明らかになっていない過労死事件があるのではないかと勘繰りたくもなる。というのも、過労死事件が発生しても、企業名は原則として公表されることはないからだ。

いずれにせよ電通という会社では、わかっているだけで3件の過労死事件が発生している。これは、同社において異常な労働環境があったことを裏付ける事実であり、25年前の1件目の電通事件から、それが一向に改善されていなかったことを物語るものだ。

残念ながら電通という会社は、「過労」に対する対応・認識が非常に甘いと言わざるを得ない。そのため適切な労務管理ができていない。それが会社の体質となっている。わかっているだけで3名もの労働者の命を奪っていることの重大性を、どのように考えているのだろうか。電通は社会的にも、法的にも、厳しい制裁を受けるべき存在である。

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