賃貸物件で住民クレームが激増した根本原因 クレームの出ない物件づくりは可能なのか?

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三浦:でも、たとえば騒音に困っている人自身も、自分は誰にも不快な思いをさせていないかといえば必ずしもそうではないでしょうし。お互い様で、ちょっとずつ迷惑を掛け合って生きればいいじゃない。

:共同住宅ですからね。

三浦:今の社会って、何か1つ問題があると全部それが起きないように防ぐでしょ。そうなると、賃貸住宅にも「遊べない公園」みたいなものができてしまう。大きな声を出すのは禁止、飲食も禁止、果てはボール投げも禁止、という看板が乱立しているような。結果、住みにくくなってしまう。

:公園で乱立する看板と同様、今の契約書は条文・特約・禁止事項などがどんどん増えてしまって、今はその読み合わせをするだけでも30分ぐらいかかります。かつてはぺらぺらの1枚だったんですが、何かあると「契約書に書いてありませんでした」と言われてしまうので、先手を打って微に入り細に入り書いておくしかない。

三浦:たぶん、みんな変にインテリになってしまったんだね。

:苦情をおっしゃる方からは、「管理費払ってるんで」とすごくよく言われるのですが、あの管理費って、基本的にはお掃除とか、消防点検とか、急なトラブルなど、建物の維持管理を中心として使われているんです。だから、月4000円の管理費を支払っているからといって、その金額分何でも要望を言っていい、というわけではない。

だからこそ、われわれ管理会社は賃貸住宅に住むすべての人の平等のために、一部の方の行き過ぎた要望にきちんと「NO」と言うことが大事だと思います。

三浦:ただ、支払った管理費でどれほどの仕事をしてくれているのか、実際入居者には見えない。

:これからの時代、もう少し透明化していくと思いますが。

「共通項」のある人を集めれば、クレームは出にくい?

三浦:クレームが出にくい物件の特徴はあるのでしょうか。たとえば、家賃が高めだと出にくい、とか。

2015年につくった「パルコカーサ」という物件では、子育て応援をコンセプトに掲げ、それに共鳴した住人だけを集めた(写真:パルコカーサ提供)

:私たちが現在試みているのが、コンセプトを明確にした物件をつくって、似た人を集めて住んでもらう、そして空室をつくらない、という方向性です。

つまり、何かしら「共通項」のある人を集めればクレームは生まれにくくなるんです。

その一例となるのが、2015年に西新井につくった「パルコカーサ」という物件。ここでは「子育てを応援する」というコンセプトを前面に打ち出しました。

住人も、子どもがいる家庭や子どもウエルカムな人ばかり集めた。似たような人が集まると、仲よくなって親近感が湧くから、ちょっと音がうるさくても、「子どもの声がうるさい!」とはならずに、「ああ、○○さんの赤ちゃん、今日も元気に泣いてるな」という印象になりますよね。

結果、子ども絡みのクレームはいっさい来ていません。

三浦:物件のほうがお客さんを選ぶということですね。

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