賃貸物件で住民クレームが激増した根本原因 クレームの出ない物件づくりは可能なのか?

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:それが、ネット上での物件検索が可能になると、立場が逆転してお客さんが情報を持ち、強くなってしまった。物件サイトには家の細部までがわかる写真や動画までついていて、物件も不動産屋さんも、"お客さま”に比較され、選ばれるものになった。

そうなると、物件を契約してからも居住者が優位。部屋の備品の機能が損なわれているわけではなくても、「省エネ対応のエアコンじゃないから電気代が高い」とか、「ネットの速度が遅い」とか、もっと上のクオリティを要求されてしまう。

「八百屋さんの音楽がうるさい!」

:最近驚いたのは、「近所の八百屋さんの流す音楽がうるさい」という苦情です。当然「私たちからは注意できません」と伝えたら、本人が直接文句を言いに行ったらしく、今度は「八百屋さんに怒られちゃったんですが、どうしたらいいでしょう」とまた電話をいただきました(笑)。

別の方からは、向かい合った部屋の住民が中華料理をよく作るらしく、「中華の匂いが家に入ってきて困ります」なんて苦情もありました。われわれがその家に行って「中華を作らないでください」なんて言えるわけがないのに……。

谷尚子(たに なおこ)/ハウスメイトパートナース営業本部課長
2000年9月、中途入社でハウスメイトショップ南浦和店にて仲介営業 。2003年6月、同店にて店長就任。2005年6月、ハウスメイトパートナーズ新宿支店にて、同社初の女性管理現場担当となり、渋谷区・目黒区・品川区・新宿区・港区・中央区など780世帯を担当。2011年6月 ハウスメイトパートナーズ東東京支店にて、同社初の女性管理支店長となり、18人で、足立区・葛飾区・江東区・江戸川区・墨田区・台東区・荒川区・中央区約6000世帯を管理。現在は管理物件の新規受託を担当(撮影:風間仁一郎)

三浦:八百屋さんの音楽とか料理の匂いとかって、状況としては昔からあったわけですよね。

:でも、それが管理会社への苦情にはならなかった。

なぜかと考えると、やっぱり、今は恨みを買うのが怖くて直接苦情を言えないという人が多いのではないでしょうか。

たとえば騒音のクレームだと、「上の人がすごくうるさくて注意してほしいんですが、私がそう言ったって伝えないでくださいね」と必ず付け加えられる。

だから、苦情が来ていることを伝える際は、オブラートに包んで「最近、上下階で音がうるさいという話が来ていますが、お心当たりはありますか?」とお尋ねするんです。

三浦:僕は学生時代の最初の1、2年、古い4畳半アパートに住んでいたけれど、壁と柱の間にすき間があって、明かりは漏れるし、麻雀して大騒ぎしている声も丸聞こえ。だがら、直接「うるさいんですが」と言い合うのが日常でした。

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