結婚相談所で「運命の人」を見つけた人の視点 細かすぎる「ぴったりポイント」はあるか?

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筆者も趣味で「お見合いおじさん」をしているので、男性の服装に関しては少し言いたいことがある。お見合いなのにカジュアルすぎる人が多いのだ。休日だからといってネルシャツ姿だったりセーター姿だったりする。

社会人として、初対面の相手と接するときはジャケット着用が礼儀だと思う。生地はニットやスエットでもいい。きちんとした大人の男性に見えるし、縦のラインができるのでスマートさが増す。ネクタイはしてもしなくてもいいけれど、少し柔らかくオシャレに見えるニットタイがお勧めである。

今までの恋愛での「何かが違う」とは正反対

寛子さんが貴彦さんに好意を持った理由は外見だけではない。「話してみると何から何まで私とぴったり」と感じたことだ。今までの恋愛での「何かが違う」とは正反対の感想である。

「私は少女マンガ『あさりちゃん』が子どもの頃から大好きなんです。マンガの中のエピソードで、クラシック音楽は同じ曲でも指揮者によって違って聴こえるという話があります。そんなことが本当にあるのかな、とずっと疑問でした。貴彦さんは小さい頃から楽器をやっていることがわかったので、『同じ曲でも指揮者によって全然違って聴こえるって本当ですか。マンガで読んだことがあるんです』と質問したら、彼が『それ、あさりちゃんでしょう』と当てたんです! すごくうれしかったですね」

細かすぎる「ぴったり」ポイントである。しかし、細かければ細かいほど、その共通点が心に響くこともある。これから人生を共にしていく異性は、食生活や人間関係、金銭などに対する微妙な感性や価値観のようなものが似ていたほうが楽しい。寛子さんにとっては、『あさりちゃん』を共有できる男性は語るに足る相手なのだ。

「それだけではありません。私は昔のホラー映画が大好きで、特にイタリアの映画監督ダリオ・アルジェントは小学生の頃からファンです。ずっとハマっています。なんと貴彦さんも彼の映画をよく観ていて、『ダリオ・アルジェントの話ができる女の人と会ったのは初めて』と言ってくれました」

『あさりちゃん』とダリオ・アルジェントのおかげで2人の距離は一気に縮まり、「トントン拍子」で話が進んだ。家事分担や子作りについて確認してから結婚したわけではないが、寛子さんと貴彦さんの志向と意見はほぼ一致している。

「子どもに関しては不妊治療はせず、自然に任せることにしています。ご縁があるならば授かるでしょう。私は家事が得意ではないのですが、一人暮らし生活が20年以上の貴彦さんは何でも慣れているんです。料理の7割は彼がやってくれています」

目的に向かって無理に頑張ることは子どもの頃から性に合わないと語る寛子さん。マイペースな一人っ子育ちなのだ。結婚相手の意向によって、実家のある東京を離れたり、仕事を辞めたりすることは避けたいと思っていた。

「でも、何もしないでいたら今でも独身だったと思います。結婚相談所に入ったからこそ、相性がいい人と出会うことができました」

寛子さんにとっては、結婚相談所への入会は「目標に向かって無理に頑張ること」ではなかったのだ。何が「無理」で、何が「自然」なのかは人によって異なる。独身のままでいることが向いている人もいるだろう。

38歳からの婚活によって40歳で結婚した寛子さん。いま、それが「私らしいタイミング」だったと感じている。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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