糖質制限ダイエットの恐ろしい「落とし穴」 創始者が警告「そのやり方、間違っています」

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大事なことなので先ほど述べた要点をいうと、正しくはこうです。

「糖質の多い食品を抜き、その分だけたんぱく質と脂質を増やす」

この「たんぱく質と脂質を増やす」という部分が大事です。さもないと、カロリー不足を起こしてしまうからです。

「糖質制限は危険」の大きな勘違い

カロリー不足のせいでさまざまな不調が出ると、それがあたかも糖質制限のせいだと勘違いされるケースがあるのは残念なことです。

テレビの健康番組で「糖質制限は危険?」などと言っている場合は、正しい糖質制限実践者ではなく、カロリー不足に陥った人を指していることがほとんどです。伝えるメディアの側も時として、糖質制限の正しい知識がないか、勘違いしている場合があると言わざるをえません。

糖質制限ブームにともなって、ネットなどでもお手軽な糖質制限情報があふれるようになりました。きちんとした入門書などを読まないで糖質制限を始めてしまうのも、勘違いが生まれる一因かもしれません。

これでは、日本社会全体に「正しい糖質制限」がなかなか広まりません。私は糖質制限食を日本社会に紹介した張本人ですから、正しい知識を普及する義務も、また、あるのだと思っています。

そうした思いもあり、今回『江部康二の糖質制限革命』を刊行しました。

もともと、糖質制限食は糖尿病の治療食として生まれました。紹介した当初は大反対だった日本糖尿病学会も、理事長が2015年から糖質制限を取り入れるなど推進派が増えています。すでにアメリカ糖尿病学会は、2013年から糖質制限食を正式な治療食として認めています。

正しい糖質制限食は安全な食事体系なのです。

そして、ダイエットのみならず、さまざまな病気の予防・改善や健康増進、美容、アンチエージングなどにも効果が期待できます。

皆さまにおかれましても、ぜひ「正しい知識」をもって糖質制限を実践してください。

江部 康二 高雄病院理事長

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えべ こうじ / Koji Ebe

内科医、漢方医。高雄病院理事長、日本糖質制限医療推進協会理事長、江部診療所所長。1950年生まれ。1974年京都大学医学部卒業。1978年から高雄病院に勤務。漢方療法、絶食療法、食養生、心理療法なども取り入れ、独自の臨床活動を行ってきた。1999年高雄病院に糖質制限食を導入し、2001年から本格的に取り組む。2002年に自らも糖尿病であると気づいて以来、さらに研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。自身の糖尿病も克服する。

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