欧米に比べ低い薬価 淘汰覚悟で改革に舵 <シリーズ・くすりの七不思議>

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医療費抑制は世界的な流れ。それに逆行するかのように日本の製薬業界は、医薬品の公定価格(薬価)を引き上げる制度改革に動き出している。患者負担も増えている折、日本製薬団体連合会は、7月9日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、薬価制度改革を提案した。

再編が相次ぐ国内製薬企業。6月には第一三共がインドの後発品最大手ランバクシーの買収を発表。また、武田薬品工業が4月に、エーザイが昨年12月に、抗ガン剤の研究開発を得意分野とするバイオベンチャーを、大枚をはたいて買収した。

製薬企業が再編に走るのは、産業構造そのものが内外問わず大きな転換点を迎えているからだ。

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、高脂血症治療薬リピトールなど全世界で売上高が10億ドルを超える大型新薬(ブロックバスター)が相次いで登場。新薬メーカーは大いに潤った。しかし、これらブロックバスターは、10年を境に特許切れを迎え、ジェネリック(後発)医薬品が参入する。

米国では後発品が出ると、先発品の市場シェアは急落する。医療経済研究機構の調査によると、後発品は発売から2カ月で処方ベースのシェア85%超を奪ってしまう。

新薬メーカーの生き残りの条件は、M&Aによる規模拡大か、新薬を出し続けるしかない。先進国市場で有望とされるのは、難治性のガンや、脳梗塞、肝硬変といった難病の薬で、開発に莫大な費用がかかるものばかり。その割にこうした疾患領域は、対象患者数が絞られる。「量」の拡大に制限がある以上、新薬メーカーが開発コストを回収するには、単価すなわち薬価を引き上げていくしかない。

ところが日本では、薬価を高くする手段がない。米国やドイツのように自由価格の国であれば、企業自らが薬価を決定できるが、日本は公定価格だ。類似する薬効群の中から比較薬を選び、その価格をベースに新薬の価格を決定する仕組み。比較薬の価格が低ければ、新薬の価格も引きずられる。実際、ここ1年半で収載された新薬の価格を見ると、65成分中30成分が海外4カ国の平均価格を下回っている(下図)。


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