6つの心理を突き「人をだます」恐怖の誘導術 マインド・コントロールはこうやって起きる

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試験に落ちたらどうしよう、係長になれなかったらどうしよう、県の選抜選手に選ばれなかったらどうしようといった不安な思いは、人を努力させるエンジンのような働きをします。だから、強迫観念的な考えを、一概に不健全と決めつけることはできません。

病的な強迫観念はまた別です。不合理で意味のないような観念に悩まされ、それを振り払うため強迫行為と呼ばれる行動(たとえば繰り返し手を洗う、しきりと机上の物の位置を直すなど)を繰り返し、強迫性障害という精神疾患と診断される場合もあります。

悩み事を深刻にして、不安や恐怖をあおる

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そこまでいかないにせよ、カルト的な団体などのマインド・コントロールでは、相手に強迫的な観念を植え付けようとする例が頻繁に見られます。正確にいうと、その人の強迫観念になりそうなものを見つけて、より強い強迫観念になるように仕向けます。それが見つからないときは、外から植え付けるわけです。

たとえば「あなた、何か悩み事はないの?」「特にありませんけど」「いや、それは問題よ。悩みがないということ自体が、人間としておかしいんじゃない?」と、悩み事のない人に、わざわざ悩み事をつくってしまいます。そして、マインド・コントロールの手法を駆使して、その悩み事を大きく強くします。その悩み事を相談し解決するには、私たちのグループに入ればいい、この人に帰依すればいいという方向に持っていくのです。

このプロセスで、悩みの原因は先祖の霊が取りついているからだ、このままでは結婚できない、必ず病気になってしまう、世界が破滅するときに救われないなど、根も葉もないようなことを吹き込んで不安感をあおります。

強迫観念を植え付けて大きくし、不安や恐怖をあおること。これは、問題のあるマインド・コントロールに見られる典型的なパターンなのです。

紀藤 正樹 弁護士/リンク総合法律事務所所長

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きとう まさき / Masaki Kito

1960年山口県宇部市生まれ。大阪大学法学部卒。同大学院博士前期修士課程修了。法学修士。日本弁護士連合会消費者問題対策委員会理事を1992年からつとめ、「ダイヤルQ2部会」「宗教と消費者部会」「電子商取引部会」などの担当副委員長、委員等を歴任。市民の立場から、一般の消費者被害はもちろんのこと、宗教やインターネットにまつわる消費者問題、被害者の人権問題、児童虐待問題などに取り組んでいる。

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