サバも「ナマ」で食べる福岡食文化の真実 食材のクオリティが他県人、外国人を吸引

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アジやイワシといった他の青魚にも同じことが言えるという。福岡で青魚が「生食」されるのには、ちゃんとした生物学的な理由があったのだ。

食材の「地場調達率」の高さも強みだ

スパイシーな熱々ソースで味付けされたカニやエビなどのシーフードをテーブルに広げて手づかみで食べる「ダンシングクラブ」=福岡市

食材の「地場調達率」も福岡は東京に比べて高いようだ。

九州最大のシンクタンク、九州経済調査協会(福岡市)の小柳真二研究主査はそんな分析を行った。

着目したのは、中央卸売市場に集まる食材の産地だ。東京が関東一円から調達する食材は、野菜も魚介類も約4割(重量ベース、2015年)。これに対し、福岡が九州一円から調達する食材はいずれも6割(同)を超えていた。「隣県にも産地を抱えていることが強みになっている」と、小柳氏はみる。食材を近場で調達できれば、鮮度が良く、輸送コストも安くすむからだ。

「福岡にはクオリティーの高い食材が集まる」と出店理由を語るミールワークスの小島由夫社長=福岡市

そんな地の利に魅せられて、シーフード料理を手づかみで食べるシンガポール発のレストラン「ダンシングクラブ」が16年10月、キャナルシティ博多(福岡市)に出店した。

東京、大阪に続く国内3店舗目で、人気歌舞伎俳優の市川海老蔵さんも訪れて話題になった。

訪日外国人客の人気スポットでインバウンド需要が期待できるが、狙いは別にあった。

運営する飲食店経営ミールワークス(東京)の小島由夫社長は「福岡に集まる食材のクオリティーの高さと価格の安さにひかれた。ここを東京や大阪への食材供給基地にしたい」と語る。

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