スシロー、再上場で明らかになった「問題点」 回転ずし最大手、ついに再上場を果たす

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財務体質の改善の他にも課題はある。今後の成長戦略である。

国内で約460店舗を構えるスシローは目下業界首位をひた走るものの、業界2位で斬新なサイドメニューを相次いで投入している「無添くら寿司」や、3位で積極出店を続ける「はま寿司」との競争は厳しさを増す一方だ。

また、現在は回転ずし業界全体が安定的に成長しているが、やがて頭打ちになる懸念もある。

問われる成長戦略

コンサル出身で日本航空(JAL)の副社長やワールドの専務を経験した水留浩一社長(撮影:梅谷秀司)

海外展開も遅れている。昨年に米国店舗を閉鎖したことで、現在は韓国の6店舗のみ(2016年9月末時点)。米国で10店舗以上展開し、台湾でも積極出店を仕掛けているくら寿司に比べると、出遅れ感が否めない。

そこで、スシローは国内では当面30店舗以上の出店を継続する方針だ。得意の郊外店はもちろんのこと、都心型店も強化する。昨年オープンし、連日にぎわいを見せる「南池袋店」をモデルに、この5月に五反田に新店を出す計画だ。

アジア圏を中心に海外展開も積極化する。「東南アジアからの引き合いが多い。目下、人材の採用や現地調査を進めている」と、藤井氏は話す。

ペルミラは20%強の株式保有を当面継続する意向だ。現在、スシローHDの取締役(社外取締役含む)9人のうち2人がペルミラからの派遣だが、この複数派遣も続けると見られる。水留社長も「当面は社長を継続したい」としている。

今後は脆弱な財務体質を克服するような成長戦略が求められる。それはある意味、再上場という選択をしたスシローの背負う十字架でもあるのだ。同社の新たな戦いは始まったばかりだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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