FRBはあと3回利上げし、ドル円は年末118円に BBHのマーク・チャンドラー氏に聞く

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――国境調整税の導入は共和党が作成したブループリントにも掲げられていますが、本当にできるのでしょうか。

難しいと思う。オバマケア代替法案がとん挫したように、大規模な税制改革はできない。なぜなら、共和党の中にも反対勢力がいるので、民主党からの支持も必要になるからだが、民主党からトランプ大統領の政策支持に回ることはおそらくありえない。WTO(世界貿易機関)も国境調整税は認めない。米国のWTO脱退がありえないとは言わないが、あるとしても数年先だろう。つまり非常にハードルが高いのだ。

2018年の中間選挙では失望感が広がる可能性も

――市場はトランプ大統領の政策による景気のかさ上げ、成長の押し上げを期待していますが、それは可能だと思いますか。

トランプ政権ができることを現時点で評価するのは早計だ。軍事支出拡大やメキシコ国境の壁建設などはやるのかもしれない。ただ、潜在成長率はそんなに簡単に上がらない。そもそも、成長率は労働投入と生産性の向上で決まる。財政刺激はインフレを加速させるだけだ。

――昨年までは長期停滞論が広がって、米国の潜在成長率は2%もない、という弱気な見方がありました。が、最近は、株式市場関係者を中心に2%台半ばという強気な見方があるようです。

市場は流行に飛びつくが、米国の潜在成長率は2%ぐらいだろう。労働人口が増えている点は日本との違いだが、生産性が低下していることは米国も同じだ。産業構造が製造業から労働集約型のサービス業にシフトしているので、生産性が上がらない。2018年11月の中間選挙の頃にはトランプ政権の支持者の間で、政策が期待したほどではないという見方が広がって、政権が力を失っていくことも考えられる。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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