FRBはあと3回利上げし、ドル円は年末118円に BBHのマーク・チャンドラー氏に聞く
――トランプ政権は保護貿易主義的な発言をし、当初は中国を為替操作国に指定すると言っていました。4月に米国財務省が出す「為替報告書」でそのようなアクションを起こすのでしょうか。また、そのあおりでドル円相場に影響は出るのでしょうか。
トランプ政権には2つの派閥があって自由貿易主義と保護貿易主義の陣営が闘っている。通貨に関してはムニューシン財務長官をはじめ自由貿易主義的なグループがリーダーシップを取っている。通商関係ではウィルバー・ロス商務長官など保護貿易主義的なグループが強い。「公正さ」の意味が2つのグループでは違うだろう。
現時点では為替操作国と認定する3つの数値基準(対米貿易黒字、経常黒字、一方的な為替介入について定めたもの)が当てはまらないので、中国に対する認識も変えたと考えられる。為替操作国への認定はしないだろう。
そもそも、彼が操作国だと言っても、それだけでは相場には影響しない。金利差が相場のドライバーであり、米国金利は日本の金利に対して上昇しているので金利差からドル高円安方向に進む。
FRBは年内にあと3回の利上げも
――FRB(米国連邦準備制度理事会)は3月に利上げを行った。年内あと何回利上げすると見ていますか。
FOMC(米国連邦公開市場委員会)のインフレ見通しは、昨年 12月には、「2%に到達することが期待できる(expect)」というものだったのが、「2%になるだろう(will)」という言い方に変わってきた。利上げに前向きになっているといえる。年内にあと2回ではなく、3回になる可能性が高まっていると思う。
FOMCとしては、米国の政策金利は低すぎると見ており、金融正常化を進めたいという気持ちが強い。可能ならば利上げを進めていこうとするだろう。2年債のイールドは今1.3%ぐらいだが、FOMCの見通しでは2年内にあと5回の利上げがあるということなので2.25%程度ということになる。それだけ市場のほうが弱気で織り込みが遅いということだ。
そもそも米国経済は完全雇用に近く、インフレ率も2%近い中で、利上げが後手に回ってしまうおそれがある。景気が悪くなった時に下げられるように、備えとして利上げしておく必要もある。
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