任天堂は、変えることをどんどん変える 任天堂・岩田聡社長ロングインタビュー(下)

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ソフトの価値をちゃんと認めていただけるような努力をし続けることが非常に重要で、それでなおかつお客様に満足していただく。ちょっといい値段だけど、それだけの価値はあるよねと、お客様との信頼関係の中でしっかりやっていきたい。一方でデジタルだからできることが、こうやって広まりつつある。任天堂は変えないこともあるけど、変えることはどんどん変えているんです。

その意味では変えないことは本当に変えないけど、変わることはどんどん変わるよね、という存在でありたい。昔、任天堂はトランプや花札を作っていた会社です。それがおもちゃ屋になって、おもちゃが電子化して、それでテレビゲームの技術に出会って、カセット入れ替え式ではないテレビゲームがあって、ゲーム&ウォッチがあってファミコンがある。

ファミコンを世に出して今年、30年を迎えますけど、任天堂は本当にいろんなことをしてきた会社。でも根っこに流れるのはずっと変わってない。人に楽しんでもらえるものを作ってきた。楽しんでいただくために、人に驚いてもらえる何かを提案し続ける。あるいは人が楽しめる場を作ることに対して何かこだわりがある存在で、そこは変わらない。

私たちは価値の維持にこだわる

だけど手段はどんどん変わっていったらいいと思うんです。ソフトって一見ねぇ、原価がないように見えるので値段が際限なく下がっていく。そういうことに陥りやすい特性があるなかで、いやちゃんとエネルギーをかけてご満足のいくものを作りますので、これだけの価値を認めてくださいということに関してしっかりやっていきたい。ある意味、インターネットやスマートデバイスに飲み込まれたいろんなコンテンツというのは、価値の維持でみなさんすごく苦労をされている。私たちはビデオゲームを健全に発展させていくためにも、価値の維持にはこだわっているんです。

私は喜んでいただける人が家族のなかで、ひとりより2人、2人より3人、3人より4人、できることなら全員。ゲームがあってよかったねぇと、みんなにこにこしてくださったら、これ以上幸せなことはないんです。

(撮影:ヒラオカスタジオ)
 

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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