日本にも欧州にも「真の指導者」が欠けている あのウォルフレン氏は今どう感じているのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――フランスの大統領選(4月、5月)やドイツの連邦議会選挙(9月)では、ロシアによるサイバー攻撃が懸念されている。具体的にはハッキングやフェイクニュースの流布だ。どう見ているか。

欧州には今、新しい敵がある。それはロシアだ。米国がなかったら、欧州にとってロシアは敵ではなかったのだと思う。

米国はつねに敵を必要としている。複合軍事産業があるからだ。冷戦終了後、米国は新しい敵が必要となった。当初は「ならず者国家」をあげていたが、2001年9月11日の米国中枢同時テロで「テロに対する戦争」を始めた。それもいまや終わりが見えてきた。

そこでロシアと中国が敵になった。欧州では、幻想のような話を基にロシアを敵視する多くの国がある。英国もリベラル派のメディアでさえもロシアを敵として報道している。オランダも同様だ。

「ロシアは敵ではない」と言ってはいけない雰囲気がある。欧州のエリート層は、ロシアが欧州に脅威を与えているという以外の見方ができなくなっている。「共産主義が欧州を脅かしている」というかつての言い方と似ている。

トランプ米大統領が親ロシアの政策を追求し続ければ、引きずり落とされるだろう。

英国のEU離脱は事故だった

――英国のEU離脱の選択をどう見ているか。

一種の事故だったと思う。上流階級生まれのデービッド・キャメロン英首相(当時)が、英国内のEUについての不満を上手に処理できると思ったのだろう。国民投票は危険なものであることを知らなかった。

国民投票がなぜ危険かというと、有権者は国民投票の問いに答えるよりも別の理由で票を投じるからだ。政府へのアンチ票かもしれないし、何らかの怒りの表明であるかもしれない。有権者にとって、ブレグジットの選択は無制限な移民の流入を止めたかったからだ。本来のEU加盟の是非とはまったく関係ないのではないか。

離脱派と残留派がほぼ半分だったということは、どちらにもいく可能性があったことを指す。結果として、(親EUの)エリート層を震撼させる結果となった。

次ページオランダの寛容は変化しているのか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事