日本にも欧州にも「真の指導者」が欠けている あのウォルフレン氏は今どう感じているのか

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――欧州はいつからそうなったのか。第2次世界大戦後からか。

大戦後はまったく違っていた。戦後、欧州には強い福祉政策があった。社会主義的政策を進めた国が多かった。大企業に権力を授けるということはなかった。

変わってきたのは市場の統合化、経済の統合化が始まってからだと思う。大企業が大きな力を及ぼすようになった。大企業によるロビー活動が非常に強くなった。

こうした中、欧州政治のトップにいる人々は基本的な政治問題について考える能力を失っている。たとえばドイツが中心となっている緊縮財政策を本当に進めるべきかどうかを考えられなくなっている。

欧州の中で上に上がっていくには、米国との関係や企業の利益を重視するという2つの課題をくぐりぬけなければならない。「こうあるべき」という考えが主流となる中で、新しい才能が上に上がっていくことは非常に難しい。主流に反したことを言えば、上に上がってはいけない。

ルペン氏がフランスの大統領になったら

――反移民、反EUのルペン氏がフランスの大統領になった場合、どうなるか。

その可能性は低いが、欧州連合にとっては大きな衝撃となるだろう。人によっては、これで欧州統合は終わるだろうという人もいるだろう。

だが、私はそうは思わない。すでに欧州の統合は深く進んでおり、多くの事柄がオランダやフランスなど特定の国の事柄というよりも、欧州レベルでの話になっている。欧州は統合が進み、もう後戻りはできない状態だ。後戻りしようとすると、「事故」が起きる。

欠けているのは欧州の新しい構想を示すことができる政治家だ。昔だったら、欧州統合に向けての大きな機運を作った旧西ドイツの初代連邦首相コンラート・アデナウアー氏(首相在職は1949-63年)やフランスのシャルル・ド・ゴール将軍(1959-1969年まで大統領)だろう。

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