なぜサムスンは、中国でアップルに勝てたか 激化する中国スマホ競争
中国向けの機能が充実
中国南部深センの電子機器を扱う市場では、サムスンの「ギャラクシー」とアップルの「iPhone(アイフォーン)」のさまざまな世代の機種が店頭に並ぶ。サムスンの機種はラインアップが豊富で、アイフォーン1台に対してギャラクシーは少なくとも4台という割合だ。
アップルが1年に1台、高価格のスマホを発売するのに対し、サムスンは中国でスペックや価格の異なるモデルを複数リリースする。アナリストは、サムスンのスマホは中国市場に特化した機能が満載だと指摘。ITコンサルタントコンサルタント企業レッドテック・アドバイザーズのマイケル・クレンデニン氏は、「アップルはこのような試みはしない。ただ、中国でシェア拡大を目指すのであれば、(多くの機能が揃った)スイスアーミーのナイフのような携帯電話を提供する必要がある」と述べた。
ペースを支配
アナリストは、アップルが廉価版や大型画面のアイフォーン開発を計画している背景にはサムスンの中国事業拡大があると指摘する。中国事業に詳しいサムスンの幹部は「(同国市場で)ペースを支配しているのはわれわれだ」と語る。
また、サムスンは低価格のスマホだけでなく、高価格帯の製品も投入し、アップルに対して直接的な攻勢を仕掛けている。共同CEOの申宗均氏はロイターに対し、「中国では高性能端末市場に注力している」とコメントした。
サムスンは中国電信(チャイナ・テレコム)<0728.HK>と共同で、中国市場向けに1台当たり1万2000人民元(約19万3000円)する高級スマホを販売。広告には人気俳優のジャッキー・チェンを起用した。IDCのアナリスト、TZ・ウォン氏は「重要なのは、サムスンは常に現地市場に適応するということだ」と語った。